ここへ来て英国株は非常に強含みポンドも対ドルで強い状況が続きましたが、足もとで急激に高まりつつあるのがボリスジョンソン首相に対する辞任要求の問題です。
BREXIT問題からボリスジョンソンの交渉姿勢や自国民への態度はあまり誠実ではなく、英国ではこういった細かいことにこだわらないタイプの政治家が人気を集めるのかと考えられていましたが、実際はそうでもないような雰囲気が漂い始めました。
2020年に首相官邸で開かれた数々の集まりがジョンソン政権が定めた新型コロナウイルス対策に違反していた疑いがあるという問題で、特にコロナ禍で開催された飲み会の説明をボリスジョンソンが議会や国民を欺く形で行ったことが非常に大きな問題になりつつあります。
これまでもこの問題が露呈するたびに関係者は辞表を提出していますがボリスジョンソンだけは免れており、当初はパーティーではなく業務のイベントだと思ったと言い訳していたものの、ここへきて主席秘書が首相官邸の職員たちに各自飲む酒を持ってくるようにとあらかじめ送ったEメールが明るみに出たことから、これまで言い訳してきた内容と異なるという批判が強まり事実関係をはっきりさせるよう追及する要求が殺到しています。
足もとでは辞任を求める声は野党のみならず与党保守党からも出始めており、ジョンソン首相の首席顧問だったドミニク・カミングス氏が批判の先頭に立っている点も問題を大きくさせているようです。
ボリスジョンソンはコロナの行動制限を順次撤廃と発言しかく乱する動きに
1月19日に議会下院に登場したボリスジョンソンは新型コロナウイルスのオミクロン株の感染ピークが過ぎたとして、イングランドにおける法的な行動規制をほぼ撤廃すると表明、官邸パーティー疑惑で政権が揺らぐ中、危機打開を図るのが狙いなのではないかとの憶測も飛び交いはじめています。
具体的には学校の教室でのマスク着用義務を今月20日に解除、ナイトクラブなどに導入していたワクチン証明書の提示義務や公共施設でのマスク着用の法的な義務を27日に撤廃する見通しとのことです。
在宅勤務の推奨はすでに即日撤廃でこれがすべて完了するとイングランドは本当にコロナ前の状態に戻ることになります。
英国民はかなり疑っているようですが、もっとも反応したのは株式市場で新型コロナワクチンを製造販売している製薬会社の株は大幅に売られ、自宅引き籠りで大きく加入者を伸ばしたサブスク動画配信のネットフリックスも20%以上株価を下落させるといった激しい影響が出始めています。
これで本当にコロナ終息ということになればボリスジョンソンも辞任を免れる可能性はありそうですが、果たして本当にそうなるのかが大きな注目点になってきています。
辞任の場合の為替への影響は結構大きそうな状況
実際ボリスジョンソンが辞任を余儀なくされることとなった場合、確実に為替でポンドが売られるでしょう。
BREXIT騒動の渦中で辞任したメイ首相の場合はBREXIT交渉への影響もあって、後任が決まるまでポンドは主要通貨で下落する展開となりました。
今回のボリスジョンソンが直面するケースとはこれとは異なるものの、やはり辞任が発表されれば次の政権がどうなるかまでは持続的に売込まれる危険性は相当高く、現状のポンドの上げ相場が一転して下落するリスクに繋がることも十分に考えてトレードする必要がありそうです。
ただ、下落の値幅事態は事前に想定できないので、実際に辞任してみないとわからないというのが正直なところです。
本邦でも国民は非常事態宣言やまん延防止措置などの様々な規制を受けているのに、政治家は会食を行って批難を浴びることがありますが、英国はそれよりはるかに厳しい規律を国民が政治家に求めており、特に嘘つきは全く許されない国民性があるようです。
ボリスジョンソンはBREXIT交渉がはじまる矢先に政権を投げだして辞任したこともあり、ある意味辞め慣れているのかも知れませんが、どうもあまりいい決着にはならないことは覚悟しておいたほうが良さそうです。