Photo Reuters https://jp.wsj.com/articles/lon-musk-says-tesla-has-suspended-accepting-bitcoin-for-vehicle-purchases-11620867292

今月8日、米国の人気番組サタデーナイトライブに登場して余分な発言をしドージコインを大きく下落させてしまったイーロンマスクですが、今度は週明けテスラがビットコインを使ったEVの購入受付を一時的に停止すると発言したことでビットコインの急落を招くこととなってしまいました。

ビットコインでテスラ車が購入できると3月末に発表したばかりですが、2か月と持たないうちに利用中止となったことでビットコインもテスラ株も連動して下げる相場となっています。

イーロンマスクはビットコインの採掘や取引のための化石燃料の使用が急速に増えていることを懸念しており、なかでも石炭は最も有害な化石燃料であると5月12日にツイートしており、暗号通貨の利用で環境を犠牲にすることは許されないとも呟いています。

しかし残念ながらそんな話は3月前からわかっていたことで、パブリックカンパニーであるテスラ社の中でもすべての役員がイーロンマスクの判断を肯定していない実情も見え隠れし始めています。

いずれにしてもイーロンマスクの気まぐれ発言は相場に大きな影響を与えることになっており、ダメージを受けた個人投資家も多くなっている点が気になります。

実需の決済にまともに利用できないとなればBTCの価値の先行きはかなり暗い

既存の暗号通貨はビットコインからアルトコインに至るまでとにかく値動きが激しく、投機的な商品としては魅力はあるかも知れませんが、実需の決済に使えないことからどこまで行ってもそのフェアバリューがいくらなのかを判断するのが非常に難しくなっています。

そんな中でテスラ車の購入にビットコインが利用できるという話しは朗報として市場に伝わったわけですが、それが環境問題をからめて利用中止になるというのは大きなダメージになったことは間違いなさそうで、話しが変わるイーロンマスク自身についても信頼性を大きく損なうような状況になりつつあります。

米国では若者から絶大な信頼と人気を誇るイーロンマスクではありますが、こうした言動が続くことは色々な面で今後問題になることは間違いなさそうで、市場がどこまで彼の気まぐれに付き合えることになるのかが今後問題になってきそうです。

そもそも電気自動車は省エネなのかという問題も浮上しそう

ビットコインのマイニングが持続可能なエネルギーで可能になれば再度ビットコインによるテスラ車購入を再開したいとイーロンマスクは説明していますが、果たしてマイニングをそうしたエネルギーで実現することはできるのでしょうか。

今のところ、とにかく電力コストの安い中国などでマイニングする以外には方法がないのが現実で、マイニングに費やす電気のエネルギー転換といったものが本当に可能なのかどうかは引き続き大きな問題になりそうです。

しかし、この問題はそもそもテスラという電気自動車にもあてはまるもので、内燃機関を使って化石燃料を燃やして走るわけではないEVもその電池に貯める電力がサステイナブルなもので生成されているかと言われれば怪しいのが実情で、ビットコインに対してイーロンマスクが投げた球はテスラというEVにも跳ね返ってきかねない状況といえます。

確かに電気自動車の走行自体はクリーンですが、リチウムイオンバッテリーに電気を貯めるとなったときには水素エンジンのほうがはるかにクリーンでサステイナブルであることにもなりかねず、状況は複雑化しかねません。

一方的でかつ爆発的ともいえる仮想通貨への投資ブームは意外な形で終焉を迎えるリスクが高まりつつあり、ここからの投資はいきなり注意しなくてはならない時間帯に突入しています。