日銀黒田総裁は4月13日東京都内で午後3時15分から講演を行い、2%の物価上昇目標の実現を目指して「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」と改めて強調したいつもながらの内容を語りました。
これを待ち構えるように猛烈な上昇を果たしたのがドル円で、とうとう黒田総裁がけん制発言を行った125.860円を突破したあとはストップをつけまくりの状態で126.300円超レベルまで上昇し、その後も4時間以上126円台に滞留するというかなり強烈な相場展開となりました。
3月末段階から日銀の要人が円安メリットなどを口にすると投機筋を中心とした市場参加者は猛烈にドル円を買い上げる傾向があり、今回も暴騰のきっかけをつくったのは黒田総裁ということになります。
長く相場を見ていてもドル円がここまで市場から日銀に対して挑戦的に買い上げられるというのはかなり珍しく、案の定黒田シーリングをぶち抜く動きが示現してしまったことになります。
さすがにその後は一旦125円台に沈んでいますが、ここからさらにどこまで上昇していくかが市場の大きな関心になっており、足もとでの財務大臣の大きな問題で注視していくといったほとんど口先介入にもならないような発言ではこの動きを止めることはできなさそうな状況になってきています。
日銀にとっては為替は基本的に管理の範囲内ではないので何もその水準については語らないのもわからなくはないですが、黒田総裁がなんら円安をけん制しなかったことで投機筋はすでに日本が利上げの出来ない状況に陥っていると認識しはじめており、ここからさらに円安が進みそうな動きになりつつあります。
ドル円の上値は130円、135円超が視野に入る状況
ドル円が126円台に突入したのは実に20年ぶりぐらいで、テクニカル的にはこの上方向に特別なレジスタンスがあるわけでもなく相場はかなり過去のレベルを参考にしていくことになりますが、ここ30年近いチャートを見ますと次に抵抗レインとなりそうなのはキリ番の130円、そしてさらにその上で2000年代初頭につけた135円辺りが一応の上昇目安となります。
これを超えるともはや150円に近いラインがターゲットになりそうですが、そんなに青天井で日米両国の金融当局ともに円安を進行させることがあるのかが大きな問題で、11月の中間選挙にむけてバイデン政権がけん制してくる可能性も視野に入れる必要がありそうです。
株価の大崩れが起きればドル円も大幅下落リスクに
現状のドル円の上昇相場を見ているともはやこの上げの動きを止められないようにも思われますが、個人投資家が気をつけなくてはならないのは米株の大崩れにともなうドル円の下落であり、2008年のリーマンショックの相場暴落でもドル円は日米の金利差などは全く関係なく大きな下落に直面したことは忘れてはいけません。
足もとの米株相場は5月のFOMCから始まるとされているFRBの資産売却・QTに対してすでに市場がかんしゃくを起こし始めているようにも見え、ここから想定外の大幅下落に陥る可能性も出始めています。
こうした状況が顕在化した場合にはドル円も一旦上昇から下落に転じるリスクはあり、超短期で120円を割り込むような展開になる危険性も視野に入れておく必要があります。
現状のドル円相場は完全に投機筋が主体で引っ張り上げているのは明白なので、買ったポジションはどこかで反対売買せざるを得ません。
長期的には上げでも、短期的には下げになる可能性も考慮しておきたいところです。
上昇が基調でも常に上下動が伴う相場は意外に難しく損をしやすくなりますので、日頃以上に慎重に取引することが求められます。