4月第3週、ドル円は3月のCPIの数字がインフレのピークになったのではないかといった観測から大きく売られることとなり、125円台から124.758円まで下押しする展開となりました。

しかし13日日本時間午後3時15分からの日銀黒田総裁の会合での発言をきっかけに、投機筋が待ち構えていたかのようにドル円を買い上げることとなり、同日のロンドンタイムには126.314円台という高値を実に20年ぶりにつけることとなりました。

その後は一旦買い上がり過ぎたことから反省安になり、それなりの値幅の下落をうかがわせるような動きになりましたが、14日のECB理事会の結果を受けて米欧の中央銀行の政策差が一段と明確になったことからドル円は再度上昇を果たすことになりました。

イースター休暇で欧米勢が不在の東京タイムに一段と値を上げ、126.679円という年初来高値を更新し、その後は欧米勢の休日となったことから126.477円レベルで週の取引を終えています。

欧米が休みの時間帯でも無理やり相場を上昇させる投機筋の取引意欲は凄まじいものがあり、週明け月曜日も欧州はイースター休暇となりますので、15日の市場参加者は限定状態で再度相場が上昇していくリスクに相当な注意が必要です。

ドル円の上昇は完全に投機筋の仕掛けでどこまで上るのかが問題

今回のドル円の上昇は明らかに海外の投機筋主体で、とくに日銀の関係者が円安のメリットなどを訴求し始めると集中砲火のように円売りを始める点が大きな特徴となっています。

ドル円1時間足

118.650円を超えてからというものの、3月後半に猛烈な勢いで上昇した相場はさすがに足もとではその勢いを鈍くしていますが、それでも2015年に黒田日銀総裁がけん制発言を行った125.860円を明確に超えてきてからは再度上昇速度を加速しはじめており、126.650円を明確に抜けてくると、あとは目立ったテクニカルポイントはありません。

投機筋の買上げもフィボナッチのポイントなどを意識しているかはわからず、130円や135円あたりが節目の水準になりそうです。

これはジョージソロスがよく口にしてきた自己強化プロセスに入っているようです。

自己強化プロセスとは、トレンドがではじめると一部の投資家、今回は投機筋により自己強化プロセスが始動しはじめ、トレンド修正が試されても結局上方向に上がり市場のトレンド信頼感はさらに高まり、相場は上昇していくというものです。

ただし現実との認識ギャップが激しくなるとどこかで大幅な調整が起きることになるため、どこまでこの上昇について行くのかが市場参加者の非常に大きな課題となってきます。

投機筋主体で上げた相場は必ず下がる局面に

このドル円相場は投機筋が主体で、ドル不足から実需の輸入勢がそれについて行っては決済用にドルを買うという動きが繰り返されており、直近では機関投資家もドルを買い始めていることから、上昇が抑止されるものがほとんど市場に現れないといったかなり特別な状況になってきています。

ただし投機筋は買ったものは必ずどこかで売り戻すことを強いられるため、一定以上の上昇がでたところで激しく戻り売りをかけてくることは十分に想定されるところで、それが127円台なのか130円まで行くのかを見極める必要があります。

本来ドル円は4月後半に向けて弱含むことが例年のサイクルとなりますが、このまま月末まで上昇を続けるのであれば130円に到達する可能性は非常に高まります。

そして5月初旬のFOMCで利上げが実施されバランスシート縮小が開始された頃に、事実売りのシナリオが飛び出すことも想定しておきたいところです。

ユーロドルは週明けさらに下方向か

ECBは先週の会合後の声明で一定期間後に利上げに着手することを示唆したものの、ラガルドECB総裁が理事会後の記者会見で一定期間とは1週間とも数カ月とも意味すると説明したことに加えて、量的引き締め(QT)の議論は時期尚早と発言したことから米欧の中央銀行の方向性がより明確になりました。

そして、金利正常化に向けてECBが動くと想定していた多くの市場参加者の期待をあっさり裏切ることとなり、ユーロは強烈に売込まれる結果となりました。

ユーロドルは1.0800を下回ることとなり、週明けもさらに下落する可能性を残しています。

ウクライナ情勢は改善しておらず、フランスの大統領選挙もルペン候補が予想外に現職のマクロン大統領に対いて善戦しており、これが現実のものになった場合改めて売り込まれることも覚悟せざるを得ず、さらに下落する可能性には注意が必要になるでしょう。

ユーロドル1時間足

4月に入ってから為替相場はドル買いと円売りが主要通貨ペアで加速しており、ドル円ではすでにやりすぎ感もではじめています。

また4時間足の上昇トレンドラインから一旦外れて下方向に下落しそうな雰囲気も醸成しましたが、結果再度上昇基調に復活しており、ドル買い材料がでても円売り材料がでてもどちらも強含むことになる点には相当意識して、迂闊な売りで臨まない姿勢が必要です。

相場としては結構明確なトレンドが出ている割にトレードはしにくく、それなりにやられている個人投資家が多いことは意識しておきましょう。