このコラムでも、4月28日の日銀政策決定会合で現状維持が発表された途端に投機筋がこぞってドル円を買上げ、130円を突破するのではないかといった予測を相場ウイークリーでしていましたが、見事に的中してしまったようで連日指値オペの実施が発表されたことで円安に拍車をかけることとなりました。
東京タイムでは黒田総裁の会見を待ち切れずに一旦131円台に乗せたドル円は、やはり黒田会見で明確に131円台に乗せる動きとなり、投機筋を中心に市場参加者が完全に待ち構えるような形でドル円を買い上げていく事態となりました。
さすさがに朝方からみると3円近い上昇だったので、そこから上にさらに買い上げる動きにはならず、すでに連休対応で上値にかなりおかれた本邦輸出勢のリーブオーダーも上昇を抑える材料になったようです。
ドル円は完全に逆三尊を形成しそれを上抜けたことから135円を目指す
今回のドル円の上昇でチャート形状は2000年初頭からスタートしたリバースヘッドアンドショルダー、日本では逆三尊をブレークスルーしたことになり、少なくとも今世紀の最高値である135円レベルをここから試しに行く可能性は極めて高くなったと言えるでしょう。
ただしすでに3月からドル円の上昇は8週間継続しており、通常のトレンドが継続する期間を十分に消化している時間帯でもあるので、どこまでこのまま上昇を持続できるのかも大きなポイントになりそうです。
しかしながら今回のドル円の上昇は例年発生する上昇トレンドとは桁違いの勢いを持っていることから、このまま5月相場も持続する可能性は考えておくべき状況といえます。
5月FOMCで相場に変化が現れるかどうかにも注目
本邦はすでにゴールデンウイークに突入して、東京タイムに相場が動くことがほとんど期待できませんが、米国は日本時間の5月4日の午前3時にFOMCの政策発表があり、ここで材料出尽くしとなると相場は逆に下落に転じる可能性もありそうです。
ただ、この相場の薄い時期に逆に大きく買い上げられれば5月中に135円に到達することもまったく考えられない話ではなくなっていますので、この連休のドル円の動きは非常に重要な時間帯に差しかかっていることがわかります。
過去20年のシーズナルサイクルでは5月初旬にドル円が円高に向うことが多いのは非常によく知られた話ですが、今年に関しては例外的に強い相場になることも当然想定されるため、どちらに動くのかを見極める必要があるでしょう。
為替介入の可能性もかなり低くなり円安を抑止する材料が見当たらない状況に
4月末為替介入の可能性の話が出ていましたが、実際には米国からの介入承認を得られた可能性はかなり低く、なにより日米協調介入をドル円だけで行うことなどは100%否定された状況で、この先ドル円が上昇して円安がさらに進んでも抑止力になるものはほとんどないのが現実となっています。
日銀は連日10年国債の指値オペを実施することを決めており、まったく金利を上げる可能性がなくなったので、FRBのここからの利上げ政策でますます日米の金利差は広がることが予想され、長期的には140円や150円に到達することも全く架空の話ではなくなりつつある点には相当な注意が必要です。
これだけドル円が上昇しても儲かっていない本邦個人投資家
3月初旬から足元までドル円はすでに15円以上の上昇を果たしていますが、どうも本邦の個人投資家は全く儲かっていないという話が流れてきます。
これはドル円の年間値幅がここ10年では10円程度とかなり限定的であることから、今回のような上昇があるとレベル感から高値で売り向かう投資家が非常に多いようで、この暴騰相場でかつぎ上げられ折角の利益機会を台無しにして、逆に大きな損失を食らっている方が多いようです。
そもそもドル円というのは年間の7割以上がレンジ相場で推移しており、上値でも下値でも相当逆張りでトレードすることに慣れ親しんでいることも、損失トレードをしでかす大きな要因になっているようです。
しかしここからは順張りでトレンドの出ている方向にフォローして利益を稼ぐことを真剣に考える必要があり、これができないとさらにここからの相場で損失を被る可能性があることを真剣に考える必要があるでしょう。