中国の新型コロナ蔓延対策といえば、強引なロックダウンで住民を動かさずに感染を短期間に制御し、他国ではほとんど真似のできないオペレーションでしたが、ここへ来てそのロックダウンで感染拡大を制御することがうまくできなくなりつつあるようです。
ロックダウンに踏み切る都市はすでに20都市以上に及んでおり、とうとう最大の首都北京も封鎖される可能性が高まりを見せています。
北京市は、26日から市内のほぼ全域で2,000万人を対象にした大規模なPCR検査を行うことをすでに発表しました。
しかし北京では25日までの4日間で70人の新型コロナウイルスの感染が確認されていますが、検査で多くの感染者が見つかれば上海のようなロックダウンになるとの懸念が市民の間に広がっているようで、封鎖に備えて買いだめに走る人も多く、なかばパニック状態に陥り始めているようです。
葉物野菜、肉類、インスタントラーメン、トイレットペーパーの購入に殺到する姿は新型コロナの感染初期の段階には日本でもよく見られた光景ですが、東京都のほぼ2倍近い人口を誇る北京ではそれをさらに上回る騒ぎになっているようです。
上海市場の株価は25日には新型コロナウイルスの感染拡大が長期化していることなどを受け、その株価指数は5%超の大幅下落となっており、コロナ感染の影響は完全に金融市場にも明確に示現しはじめています。
豪ドル円は大きく下落、クロス円も同調する動きで為替にも大きな変化が
中国で北京がロックダウンになりそうであること、さらに上海株価が一気に5%下落したことを受けて、ここまで円安一辺倒だった為替市場にも大きな変化がみられています。
まず大幅下落となったのは中国との貿易額が非常に大きく、その影響をもろに受けやすいオーストラリアの豪ドルが弱含むこととなっています。
とくに豪ドル円の下落はかなり激しいものになり、ここまでウクライナ戦争からロシアに代替する資源国として非常に好調な動きをみせていた豪ドル円は一気に失速する形になってしまいました。
4月初旬から順調に上層した値をこの下落でほぼすべて吐き出す動きとなってしまったことから、ここからの豪ドル円買いはそうとう慎重に対応することが求められることになりそうです。
中国はコロナ感染がなんとか終息させることが最大の課題で、果たしてこれまでの手法である有無を言わさぬロックダウンとPCR検査の徹底だけで乗り切ることができるのかが大きなポイントになりそうです。
日本国内ではすっかり飽きがきた新型コロナ感染ですが、実は初期に終息に成功したはずの中国でここまで大きな騒ぎになっているのはかなりの驚きで、他国にも広がりを見せることにならないのかも非常に危惧されるところとなってきました。
結局新型コロナ感染問題はまだ全然終わっていないことを改めて認識することとなり、ここから金融市場にさらに影響を与えるリスクについても意識しておかなくてはならないでしょう。
ここからの為替市場のセンチメントの変化に注意
この2か月あまり為替市場はすっかり円安が大きなテーマとなり、新型コロナが市場に与える影響はかなり限定的に推移してきました。
円安はドル円の上昇とともにクロス円も大きな上昇がはかられる動きでしたが、センチメントは突然変化してしまったようで、ゴールデンウイークを挟んでこの動きがどこまで継続していくかが注目されるところです。
ただドル円に関していえば5月のFOMCで具体的に利上げや資産の縮小が発表されることなるので、日本の中央銀行の政策との違いはさらにはっきりしてくることから慢性的な円安の時間帯がさらに続くことも考えられ、ここからの取引には注意が必要になってくると思われます。