正月明け1月第一週の相場はフラッシュクラッシュのような大幅な下落こそ起きなかったものの、ドル円を中心にして結構大きなボラティリティがでることとなり、年初から損切を余儀なくされた個人投資家も相当多い状況となりました。

事実上の年明け相場となった3日のNYタイムにはドル円はNYタイムにむけて一旦130円を割り込み、129.500円レベルまで下落する動きとなりましたが、その後は一転して6日にはショートカバーがでたのか135円手前まで上昇する場面が見られました。
ただ同日NYタイム日本時間の午後10半に発表された昨年12月の米雇用統計は、雇用者数が引き続き力強い伸びを示したものの賃金の伸びが鈍化したことから、米金融当局が利上げペースを減速させる可能性がでることとなり債券金利は下落、ドル円も下方向に下落する動きとなりました。

非農業部門雇用者数は前月比22万3000人増でエコノミスト予想の中央値20万3000人増より若干数字はよかったものの、前月は25万6000人増(速報値26万3000人増)に下方修正となり、家計調査に基づく失業率は3.5%、50年ぶり低水準に並ぶこととなっています。
また前月は3.6%に修正ということになりました。

またその後発表となった米国12月ISM非製造業景況指数は49.6と50を割れる数字となり、活動の縮小を示す50割れはパンデミックによる経済封鎖直後の20年5月来で初めてとなったことから、景気後退懸念が高まるものとなりました。
これを受けて指標が悪かったのにFRBの利上げが進まないと判断した株式市場はその結果を好感することとなり、三指数ともに大きく値を戻すという不思議な動きを示現することとなりました。


一方ドル円は米債金利が大きく低下したことを受けてさらに下落幅を広げる展開となり、結局132.105円で1月最初の週の取引を終えています。

Data Tradingview

結局一週間を通してドル円はボラティリティこそ意外に大きな相場となりましたが、上方向に行くのか下押しするのかは相変わらずはっきりしておらず、方向感に乏しい展開となってしまいました。

週明けのドル円は米国月次CPIの結果に注目

週明け12日には米国の月次CPIの発表が予定されていますが、この数字がまた低下するようだと債券金利は下落、ドル円もそれとの相関からまた下げを試す展開が予想されます。
たしかにここ数か月の動きを見ているとインフレは一旦はピークアウトした可能性がかなり高そうですが、それで完全に終息とはいかない可能性が強く、今後何度か強弱を繰り返すことが予想されるだけにドル円も単純に下落して上昇終了とはならないことを想定しておく必要がありそうです。

またFRBのパウエル議長は月次CPIの発表後、スウェーデン国立銀行主催の国際シンポジウムでの講演が予定されており、12月の雇用統計やCPIの結果を受けてどのような発言をするかにも注目が集まりそうです。
また日銀の動向にも非常に関心が集まりつつあり、黒田総裁の後任の人事などの報道が出てくることになるとそれに相場が反応することも考えておく必要があるでしょう。

ユーロドルは週明けもユーロ買いの動きが強まるかどうかがポイントに

ユーロドルは昨年12月15日に久々に1.0737をつけましたがその後は反落し、年が明けてからは先週末に1.0484まで急落する展開となってしまいました。
ただし金曜日の米国雇用統計米ISM非製造業景況指数発表後に値を戻す動きになっており、週明けもこの動きが続くことになるかどうかに注目が集まります。

当然米国の月次CPIの数字が低下することになればユーロドルではドルが売られる展開になるため上昇が予想され、果たしてどこまで値を戻すことができるのかに大きな期待がかかります。
直近高値1.0737を上抜けできれば1.08000を試す時間帯が訪れることになるのかも知れません。

Data Tradingview

すでに2023年相場はスタートしていますが、どの通貨ペアもそれなりには動くものの方向感をしっかり指し示すものは少ないのが現状であり、いよいよ週明けから1月後半に向けて明確な動きがでるのかどうかに関心が集まります。
依然としてFRBの政策動向とりわけ利上げのスピード感に市場は大変興味を持っているようですが、今年に関してはそれと並行して日銀がどのように政策変更を持ち出してくるのかに市場の関心が集まっていて、円の動きにも十分な注意が必要になりそうです。

年明けから相場には新年のスタートダッシュを決め込むために多くの個人投資家がレベル感から買いや売りで参入していますが、意外にやられて損切を余儀なくされているという話もよく聞きます。
ここは流れの方向がはっきりするまでじっくり見守っていくことも重要になる時間帯です。