米労働省が発表した2月JOLT求人件数は993.1万件と、2021年以降初めて1000万件を下回り21年5月来で最低になりました。
このJOLT指数はOLTS求人労働異動調査(JOLTS Job Openings)により集計されており、商業、工業、オフィスの求人情報を毎月掲載しています。
計算には、月の最終営業日現在で埋まっていないすべての求人が含まれます。
調査サンプルには、全50州とコロンビア特別区の約16,000社の米国企業が含まれており、小売業、産業界、建設業、鉱業業、運輸業、IT業、金融業、教育業、医薬品業など、アメリカ経済の大部分が代表されるとされています。
JOLT指数に関してはイエレン財務長官の得意分野でFRB議長当時には注目を浴びた時期もありましたが、雇用統計の数値とはかなり異なるということから直近ではあまり重視されてこなかった指標でもあります。
ところが最近米国の求人状況が想像以上に悪くなっているといった観測が出始めていることから急に注目を浴びる結果となっているのです。
1000万人の求人を切ったのはここ2年で最低で、1月分も1082.4万件から1056.3万件へ下方修正されています。
2カ月間で130万件の求人が減った勘定で採用も16.4万人減の6163万人と21年5月以降で最低となっています。
市場はひどく反応し債券金利は大幅に低下、ドル円も発表前の132.700円台から131.520円までなんと1.2円近くまで売りこまれ、翌日の東京タイムではすでに131.200円台まで沈み込む異例の状況になっています。
ここまで市場が激しく反応したのは本当に珍しく、市場の雇用状況への関心の高さが改めて浮き彫りになっています。
ISM景況指数、雇用統計でも雇用者数の状況に注目が集まりそう
今週は3月ISM非製造業景況指数が6日に、また米国雇用統計が7日に相次いで発表となりますが、いずれの指数も悪化した場合FRBはここから利上げを行わあい可能性も考えられることから、市場は注目することになりそうです。
一般的にはJOLT指数は雇用統計との相関性がかなり低いとされておりそれぞれの指数の集計の仕方は全く異なるのでばらついた数字がでることもありそうで、指標を受けた相場の動きが心配されるところでもあります。
今週はユダヤ教の祭日が5日から13日まで、復活祭前のグッドフライデーの祭日で7日が英米金融市場が休場となるため参加者が限定的となる可能性もあり、逆に閑散相場の中で大きく動くリスクも高まることも想定しておかなくてはなりません。
米国はそもそも景気が悪化しはじめている
ここのところ金融機関の破綻リスク問題が市場の大きなテーマとなって各国のインフレの問題は若干後退した感がありますが、それと並行して大きな注目点となりつつあるのが景気後退懸念の問題です。
過去の米国市場では景気の悪化から利上げを注視し、利下げに転じた直後に株式市場が暴落するといことが何度も起きています。
インフレ対策の利上げを止め、さらに利下げをはじめれば株価が元に戻ると考えている市場参加者が非常に多くなっていますが実はそうはなっておらず、ここからはインフレよりもリセッションの影響のほうを心配すべき時間帯に入っていることを感じさせられます。
ウォール街のミレニアル世代はリセッションを体験したことがなく、相場の暴落にも遭遇したことがないことから金利の下落を好感してまた相場に買い向かいそうな気配ですが、今回米国がリセッションになった場合その期待とは全く異なる相場の動きがでることも十分にありそうで、相場の雰囲気に流されないトレード姿勢が求められます。
ドル円はここからさらに下落の可能性に注意
こうなると為替相場がどうなるのかが気になりますが、昨年4月以降もぐんぐん値を伸ばしたドル円は今年に関してはそうはならないことが予想され、大きくではないかもしれませんが円高方向い動く可能性を想定しておくことが重要です。
過去20年のドル円のシーズナルサイクルだとここからは8月に向けて円安が進みやすくなるので、今年これに準じた動きになるとすればそれなりの円高が示現することも十分にありえるでしょう。
4月相場は機関投資家も不在のため投機筋主体での売買が進みどの通貨ペアもなかなか方向感がつかめない上下動相場を繰返していますが、4月後半からは明確なトレンドがでることを期待したいところです。