相場のセンチメントが突如として激変するというのは為替相場ではそう珍しくありませんが、7月第一週の金曜日に発表された米国の雇用統計以来ドル円相場は大きく変化することとなり5月から積み上げてきた相場を6営業日で一気に逆戻りさせ、とうとう137.200円レベルまで押込むというやりすぎ相場を示現することとなってしまいました。

ドル円年初からの動き

しかし流石にこれはやりすぎで、投機筋主体で猛烈に売込まれた相場は反対売買も出て週末金曜日には138円台後半まで値を戻して週の取引を終えています。
この動きの大きな材料となっているのが米国のCPIの低下からインフレが終わりFRBの利上げも終了することになるのではないかといった観測で、7月末のFOMCの0.25%利上げはすでに完全に市場に折り込まれているもののそこから先の利上げが終了することになるのかどうかに大きな関心が集まっています。

最新のFedWatchは7月FOMCでの利上げ完全織り込み

138円アラウンドというのはこれまで相場のレジスタンスラインとしてもかなり機能してきた水準のため一旦137円台に突き抜けはしたものの、そのまま走ることはなく138円台に値を戻してきたことが窺われます。
ただし月末のFOMCと日銀会合をこなすまではドル円が再度上昇軌道に復帰するとは思えず、140円あたりを上限として137円を行き来する上値の重たい相場が継続しそうな状況です。

ただドル円の低下地合い自体は変化しないものと思われ、延々と戻り売りが月末まで機能してしまうことも想定しておきたいところです。
先週つけに行った137.200円を更に割れるようだと本格的な下落トレンドが走り始めるため、さらに相場は下落することが予想されますが、ここまで7円ほどの下落は円ショートが巻き戻しを食らった結果であるだけに、残された円ショートはここから下落の燃料として機能する可能性はかなり低そうで、よほど力づくで押し下げない限りこれより下の展開はかなり難しくなりそうな状況です。
ドル円の下落はNYタイムを中心に動くことが基本となっており、どれだけ相場が戻しても夜の時間帯にはそれ相当な注意が必要となりそうで、迂闊なロングポジションの作成はできるだけ見合わせた方がいいでしょう。

ユーロドルは一転して上方向に注意深く対応

7月に入ってからドルが著しく弱含み、特にこの一週間を見るとドルインデックスも顕著な下落傾向を示しています。

ドルインデックス一週間の動き

とくに先週後半はさらに弱含む展開となっており、ドルインデックスはすでに100を割れるといった大幅下落の展開を継続中です。
こうなるとユーロドルはドル安起因でさらに上値を試す可能性もありそうで、7月初旬の見立てからは大きく変わりますが、1.1100近辺の強力な抵抗帯を突破したことから週明けはさらなる上昇を期待する一週間になりそうです。

ECB高官による7月以降の利上げタカ派発言が繰り出され、さらに経済市場が強含むような展開になれば1.1400レベルまでの上昇の可能性もありそうで、ここからは常に相場を注視していくことが肝要です。

円高で完全に割を食ったのはトルコリラ円

先週一週間の円高ですさまじい割を食ったのはトルコリラ円で、トルコ中銀の利上げも空しく上昇に転じられなかったこの通貨ぺアは円高の影響をうけて先週さらに下値を試すというかなりきわどい展開になってきています。
クロス円全般に円高の影響を受けていますがとくに顕著なのがトルコリラ円となり、日頃以上の注意深いトレードが求められることになりそうで、場合によっては一旦撤退といった判断も有利にワークしそうな状況です。

トルコリラ円1週間の動き

こうした状況はスワップ狙いのトルコリラ円ロンガーにとってはさらに辛い時間帯に差し掛かっており、ここからドル円がさらに弱含むような展開になるともう一段の下落が予想されるだけに相当な注意が必要になりそうです。
スワップ狙いならすでにメキシコペソにシフトしたほうが断然安全でコストもかからないので、このタイミングで一旦通貨ペアを変更することを考えるのも絶好のチャンスになるかもしれません。

為替相場は7月に入って突然センチメントが大きく変化しているため、過去13週の取引でワークしたような売買手法はそのまま利用できないと考えるのが得策のようです。
特にドル安と円高は相互に走り始めているため、それに絡む通貨ペアの動きは大きく変化しています。
上昇トレンドが出ている場合には順張りでついて行くのが圧倒的に有利ですが、ひとたび相場が崩れだす方向に動くとエントリーは各段に難しくなるので日頃にも増して用心深いトレードを心がけたい時間帯です。