直近のビットコインの動き

 

ここ最近のビットコインは、ドルベースで4万ドルまであと一歩というところまで上伸しており、年末の上昇相場を独走状態となっています。

4万ドル突破は時間の問題と思われますが、それと対峙するように米国では大きな問題が起き始めています。

ハマスに対する資金援助に仮想通貨送金、とりわけビットコインが多用されていることに米国政府が非常に強い懸念を示している、いわゆる不正送金の問題です。

不正送金ということになれば、規制のターゲットになるのは間違いなくビットコインであるため、足元の上昇を呑気に喜んでいられない状況となります。

 

アデエモ米財務副長官は11月29日、仮想通貨企業が不正送金やマネーロンダリングなど違法な資金の流れを遮断し、関係当局に報告しないのであれば、米国経済からシャットアウトするという強気の発言を行っています。

アデエモ米財務副長官と言えば、国内での知名度はそれほど高くはないものの、次期NEC長官候補にも名が挙げられるほどの実力者です。

11月初旬には、イスラム組織ハマスの資金源を根絶するため、米国と同盟国は仮想通貨の使用を取り締まるなどの追加制裁を今後数日から数週間中に導入すると述べていることで注目されています。

 

Photo Bloomberg

 

米国は、ハマスへの制裁措置として個人からそれなりの組織までがチャリティーのような形で行っている献金やビットコインを通じた資金提供を根絶しようとする強い姿勢を見せ始めています。

ビットコインは、特定国の通貨と紐づけられていないが故に、通貨を名乗りながらも送金の実需としては不正利用が圧倒的に多いという極めて不名誉な状況を抱えています。

今後米国が不正送金の根絶を理由に、ビットコインを始めとする仮想通貨を米国社会から遮断するような動きに出た場合、ビットコイン市場で4割以上の大きなシェアを占める米国がドロップすることになるため、現物ETFの上場どころの騒ぎではなくなってしまいます。

米国がハマス制裁を名目に、米国内における仮想通貨流通の仕組みを完全に経済から切り離すことになれば、他のG7各国も同調する可能性があります。

米国経済にとっては、ビットコインやイーサリアムが完全に排除されるような事態に陥っても、経済的な損失はそれほど大きくはないと考えられるため、締め出しが現実のものになる可能性はなきにしもあらずといった状況です。

バイナンスCEOはマネロン対策違反を認め退任

Photo Sina 新浪香港

 

国内では大きく報じられていませんが、仮想通貨取引所最大手のバイナンスの趙長鵬(チャンポン・ジャオ)最高経営責任者(CEO)は、米司法省が調査していた反マネーロンダリング法違反について、罪をあっさりと認め巨額の罰金の支払いにも応じることを発表しています。

米司法省はバイナンスについて、利用者が世界各地で制裁を免れる手助けをしていたと指摘しており、罰金と没収金合わせて43億ドル(約6370億円)の支払いを求めるとしています。

この報道の中でハマスとの関連性は明らかにはなっていませんが、逃れられない証拠を突きつけられた可能性は高く、今後仮想通貨取引所の破綻が連鎖すれば、市場の規模は縮小せざるを得ない状況となります。

ガーランド司法長官は、バイナンスが世界最大の仮想通貨取引所となった一因は、同社が犯した犯罪によるものだと厳しい発言を浴びせています。

仮想通貨取引所に対する米国金融当局の姿勢は、非常に厳しくなっておりすべてが米国市場から撤退・消滅するのも時間の問題のようにも思える状況です。

仮想通貨は主要参加者全員が投機目的という状況

どこの国の通貨であっても、法定通貨であれば国が完全に破綻しない限り、価値が下落しても存在そのものが完全に排除されるということはあり得ませんが、ビットコインを始めとする仮想通貨の場合、そうした不測の事態に陥る可能性もあります。

特に世界経済の中心である米国が、不正送金やマネーロンダリングを理由に自国の経済から仮想通貨を完全に切り離すことになれば、そもそもの価格を維持することができなくなり、場合によっては無価値化して市場から脱落する危険性もあります。

ハマスに対する制裁が大義名分である以上、今のところビットコインを守ろうとする国は西側諸国には存在しないのが実情であるため、ここからの展開に警戒感も高まりつつあります。