12月も第四週に入り、為替相場は実質的に年内稼働する最後の週になりそうです。
欧米勢は先週の15日をもって市場から離脱しているため、今週は閑散した相場が続く見通しです。
今週は19日に日銀政策決定会合を控えており、その結果次第ではドル円を中心にクロス円において大きく上下動することが予想されます。
先週は、FOMCでパウエル議長が来年の利下げについて具体的に言及したことによりドル安、米株高、債券金利低下が進みましたが、日銀政策決定会合でも何らかの変更または変更示唆があれば、さらに円高が進むことになります。
逆に現状維持となれば、円買いの買戻しが進む可能性があるため、19日は会合の始まる昼前後から会見が終わる午後5時頃まで気の抜けない状況となりそうです。
出所が気になる植田総裁がマイナス金利を終了させるとの情報
足元では岸田政権が、自民党安倍派による政治資金パーティーの裏金問題に直面しており、どこまでこの政権が持続するかどうかも不透明な状況になっています。
そのため、現状で日銀がこの問題に一切配慮せずマイナス金利の終了や年明け早々の利上げなどを示唆するとは考えにくい状況です。
また7日の国会後に行われた植田総裁と岸田首相の会談では、日本株の下落状況について叱責を受けたという情報もあり、日銀の去就は不安定な状況にあることが窺われます。
FOMCと同様に、政策運営の展開を占うのは非常に困難であるため、どのような状況にも対応できるよう対策しておく必要がありそうです。
植田総裁は12月ないし来年1月に0.1%の利上げを行いマイナス金利だけは終了させるのではないかとの予想が日銀OBの間で広がりを見せていますが、0.1%と言えどもこの時期に利上げを行うかどうかは全く不透明な状況です。
また、利上げの実施をまことしやかに断定する情報も、その出所と信憑性が気になるところです。
0.1%の利上げだけにとどめたい日銀と、さらなる利上げを期待する市場の間に乖離が生じれば、たとえ0.1%の利上げでも、市場に与える影響は大きなものになりそうです。
利上げ実施ならドル円は140円割れ、現状維持なら145円以上の買戻しか
植田総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」との発言を行ったことにより、ドル円は5.5円という財務省による5兆円の円買い介入規模の下落を示現しました。
そのため、市場参加者の少ない年末までは、ここからさらに下がったとしても138円程度まで押し下げるのが精一杯となりそうな状況です。
また日銀会合の結果が現状維持となり買戻しが出たとしても、米国債券10年の利回りがすでに4%を割り込む動きになっているため、大きな戻りを試すことはなくFOMC前の145円台に戻すのが精一杯な状況となりそうです。
ユーロドルはドル安による急伸後の巻き戻しに注意
先週のユーロは、FOMCが来年の利下げ見込んだことからドルの動きとは対照的に大きく上昇しましたが、その後のECB理事会でFRB同様、利下げ観測がくすぶる状況となっており、徐々に下落しつつ週の取引きを終えています。
週明けのユーロドルもドル次第の展開となりそうですが、FRBの利下げ観測が進むことになればまた1.07方向へ下落していくことが想定されます。
米国市場に比べ欧州市場は参加者は多めの様ですが、今週後半はさらに薄商いとなるため、迂闊に保有したポジションの手仕舞いができず、損切を余儀なくされることがないよう注意が必要です。
今週は日銀政策決定会合があるため、日本勢は引き続き為替相場に大きな関心を寄せています。
しかし、すでに7割以上の市場参加者が年末の休みに入っており、アルゴリズムだけが暗躍する流動性の限られた相場になる可能性があるため、取引を行う際には十分な注意が必要です。
今年は、クリスマスが月曜に当たり、26日は海外FX市場の特別休場となるため、東京市場以外は動きがないものと思われます。
次の27日は欧米勢にとって新年相場となり、それまでの動きと全く異なる動きが示現することもあるため、取引の際はくれぐれもご注意ください。