先週は国内もお盆ウイークで為替相場はそれほど大きな動きは見られませんでしたが、前々週末の雇用統計から上昇したドル円が閑散相場の隙に110円台後半の上値を試す動きになりました。
しかしこれは投機筋が無理やり仕掛けた動きで最終的には週末金曜日に大きく値を戻し行って来いの一週間となりました。
週明け日本勢はマーケットに戻ってきますが欧米では引き続き夏休みの真っ最中なので、来週26日に行われるジャクソンホールの中央銀行会合までは方向感のはっきりしない相場が続く可能性があります。
9日アジア時間にいきなり起きた金の暴落は閑散相場の怖さを再確認する状況に
為替相場は比較的おとなしい動きになった先週一週間でしたが、それとは別に商品市場では週初に金がフラッシュクラッシュに見舞われ、多くのCFDなどにレバレッジをかけて買いポジションを保有していた個人投資家が大損失を食らう形となってしまいました。
前週7日の米国雇用統計が良好な結果だったことを受けて1800ドル台から下落したゴールドは、週明けの東京が休日だったアジアオセアニアタイムの午前7時40分過ぎから突然大きな下落が始まり、1690ドルまで下落するのに1時間もかかりませんでした。
市場ではこのフラッシュクラッシュ的暴落にかなりの憶測が飛び交っていますが、結局週の相場開始直後から大きな売り切り玉が持ち込まれ、薄商いの中で買い向かう動きが全くないまま下げられるだけ相場が下がって瞬く間に70ドル安まで価格が下落する、という相場になってしまったことが分かっています。
金の取引経験の無い方にどのぐらいの下落インパクトかあまり理解してもらえないかもしれませんが、ドル円に例えるなら110円が7円から8円下落するくらいの値幅だったので、多くの個人投資家もそれに巻き込まれて損切を余儀なくされたようです。
ボラティリティのない相場状況で大きな売り切り玉などが持ち込まれると相場はそれを処理しきれなくなり、結局価格を大幅に下げるという形になってしまった、と言う動きがこの事態の原因です。
疑問に思われる方も多いと思いますが、現実に閑散相場ではこうしたことが起きるということを改めて思い知らされました。
こうした低ボラティリティ相場における急落劇はゴールドに限ったことではなく、普通の為替通貨ペアでも起きる可能性があると改めて理解しておきましょう。
2019年のお正月にトルコリラ円の下落から始まった相場のフラッシュクラッシュは、ドル円が簡単に6円近く下落しているので、主要な通貨ペアでも閑散相場の状況次第では簡単に下落する可能性を常に意識しておいた方がいいかもしれません。
この時も日本の輸入勢は下値で買いのリーブオーダーを出しておらず、大きな下げとなってしまいました。
週明けも動意の限られた相場が継続か
8月第三週、世界的にはまだ夏休みの真っ只中ということでNY市場なども動きが乏しくなることから、日本はお盆明けと言ってもそれほど大きな動きがないまま8月後半までこの状況が続くことが予想されます。
市場のテーマは米国FRBのテーパリングの開始時期の問題一色になりつつありますが、ジャクソンホールで何かが示唆される可能性はかなり低そうで、逆に多少のテーパリングが発表されてもそれ以前に市場が織り込み過ぎると噂で買った相場が事実で売られることも考えられ、いずれにしても26日以降に相場が変動する可能性を今週から意識しておきたいところです。