市場が想像以上に注目していた日銀の政策決定会合は結果的に現状維持となりましたが、事前の読売新聞の観測記事が飛び出したりしたことが響いたのか海外勢はなにか政策変更が出るものと期待していたことから無風の結果をうけて、猛烈な買戻しとそれに巻き込まれた損切がでることとなり、発表からほんの数時間で3.5円もドル円が上昇しました。
ただこれは買い上げられたというよりは強烈なショートカバーということで黒田総裁の会見が始まった午後3時半すぎにはすでにさらなる買いは続かず、その後のロンドン勢の登場で結果的に日銀はYCCの金利をこのままの状態で維持してはいられなくなるといった見方が強まったことから今度は凄まじい売りが再開し、そこまで買い向かってきた向きのロングは一斉に投げさせられるという恐ろしい展開になりました。
すでにロンドンタイムの終盤には上昇の全値戻しに近いところまで下落しましたが、その後NYタイムで発表された経済指標が思わしくなかったことからさらに売込まれ、一時は127.500円レベルまで押込まれる状況に陥ってしまいます。
想像以上に激しい上下動で相場はかなり傷んだ模様
終わってみれば大幅な行って来い相場でしたが、往復で6.5円も動いてしまったので事前に思惑からポジションをもっていた市場参加者は相当損失を食らう結果となってしまったようで、翌日の19日はほとんど動きのでない相場が延々と続くことになってしまいました。
個人投資家のみならず短期の投機筋でイベントドリブンの売買を行っていた向きは想像を絶するほどやられてしまったようで、20日のロンドンタイムからはそうした向きの逆襲ではないかと思えるほどいきなりドル円が買い上げられるという展開に遭遇することになります。
日銀政策決定会合後の相場としてはドル円は上値が重く、むしろ下方向にさらに動きそうな気配が漂いましたが、ロンドン勢や投機筋が大きく買い上げる動きとなったことから今度はショート勢が一斉に損切を余儀なくされることとなり、18日の損を一気に取り返した投資家も見られたようです。
方向感のはっきりしない中で無理やり短期投機筋が上に下にと相場を動かしたのは、これはこれで市場参加者の損失を引き出すことになってしまったようで、先週は週央から週末まで痛手を被った投資家が相当多かったことが窺われます。
昨年はかなり長期に上昇トレンドがでていたことから比較的楽に稼ぐことができたドル円でしたが、今年はそれとは大きく異なり、かなり難しい通貨ペアへとシフトしてしまったようです。
次回FOMCは1月31日、2月1日の両日開催で結果は2日日本時間午前4時
明けた23日からの一週間はすでに1月後半ということで、さらに次の週になれば月末1月31日、2月1日の両日にはFOMCが開催されることから為替市場も円主体からドル主体へと取引に変化が現れることが予想されます。
直近の米国の経済指標は悪化に向っていることから次回FOMCの利上げは0.25%と予想する市場参加者が圧倒的で、利上げ自体もあと2回、0.5%で打ち止めという見方が強くなっていますので、この市場の予測と実際とに差がでるのかが大きな注目ポイントとなりそうです。
そのためこの先10日間については市場の思惑からドルがどう動くか次第でドル円もユーロドルも動きがでそうで、これはこれで注意していく必要があります。
全体として米国市場はリセッションが迫ってきているという認識が広がっているので、FRBもここから無理して金利を大幅には上昇させないといった希望的観測が強いのも事実で、このあたりの見方と実際の政策内容との間にギャップが出るとドル円はまた暴れだすことになりそうです。
したがって週明け相場は131円から126円といった結構広いレンジでの推移も想定しておきたいところで、断定は禁物です。
ユーロの回復に期待する相場が再開の可能性
一方ドルや円の華々しい動きの影にかくれていまひとつ方向感がはっきりしなかったユーロですが、欧州圏のインフレは早晩収まり、景気も想定以上に早く回復するのではないかといった楽観論が高まりを見せていることから、株も為替もユーロ圏に資金が徐々に集まりはじめておりこれがFOMC以降加速するのかにも注目が集まります。
昨年のロシアのウクライナ進行でエネルギー価格を含めて激しいインフレの示現が予想されていたものの、そこまで厳しい状況になっていないことがユーロに対する見方が変化する大きな要因となっているようです。
また今年の冬は予想以上に暖冬が続いたこともかなり助けになっているようで、米国がリセッションに陥ってもユーロ圏はそれに巻き込まれないのではないかといった楽観論も飛び出しています。
米国の経済状況の影響を受けずにユーロ圏だけがどこまで景気を回復させられるのか、またインフレを封じ込められるのかについては大きな疑問も残るところですが、ここからユーロの動きに変化がでるかどうかは細かくチェックしていきたい時期になっているようです。
ということで今年の為替相場は年初から予想以上に難しい展開に入り込もうとしていますので、妙な先入観から相場の方向を断定してトレードするようなことは徹底的に避ける習慣をしっかりつけることが肝要です。
くれぐれもご注意ください。