1月6日日本時間午前4時に開示された2021年12月のFOMC議事録で、FRBは市場が想定している以上に早く量的緩和の縮小に乗り出す意向であることが確認されたことから債券金利は大きく上昇し、米株三指数は大幅下落、ドルは堅調な推移と利上げモードの相場展開が強くなりました。

ただ人の裁量取引ではこうなることがほぼ12月の段階から予想されていたので、今頃事実確認で相場がこのような動きになるのはあまり理解しにくく、AIやアルゴリズムが人の認知、理解とは異なるペースで相場に変化状況を織り込むことが改めて認識されています。

2022年3回ないし4回の利上げが実施されることになれば10年債利回りは2.5%を超える織り込みを示現することになりそうですが、株価はどこまで下落するのかが大きな注目点になっています。

10%以上の下落となった場合下落率はそこまでありませんが下落の値幅は史上最高値なので相当な値幅の下落額になることは間違いなく、さらに下落が進んだ場合FRBは本当に予定どおりの利上げを行うことができるのかが市場の大きな関心事になりそうです。

2018年末の相場暴落後のパウエルの対応を思い出すと利上げは難しい可能性も

ここで思い出されるのが2018年年末のクリスマス暴落相場ですが、チキンでほとんど利上げができなかったイエレンの後釜として、パウエルがFRB議長になってからは利上げ継続で出口に向かおうとしたのは記憶に新しいところです。

しかしそれに対し米株三指数がテーパータントラムの動きを見せて大暴落の洗礼を受けたことから結局利上げ断念、緩和継続となってしまったことが思い出されます。

もちろん現状はインフレに直面しており2018年とは大きく異なるものがありますが、中間選挙を控えたバイデン政権がどこまで株の下落に耐えられるのかも大きな注目点になってきそうです。

インフレが接近しているからなんとしても利上げを行うという強い意志があれば株価の下落など一切気にしなくなるのかもしれませんが、NYダウで3000ドルから5000ドルも下落した場合には相当なネガティブインパクトが起きるのは間違いなく、バイデン政権とFRBの相場下落に対する耐性がどこまであるのかが問われます。

2008年のリーマンショック以降米国はインフレに直面したことはなかったため緩和は止めてもすぐに再開することができましたが、本格インフレが到来、進行した場合FRBができることは極めて限られたものになるのは間違いなく、むずかしい時間帯に突入してしまったことを感じさせられます。

FRBが緩和終了利上げに失敗すればドル高は一転ドル安に豹変

相場の激変からFRBが利上げに躊躇したりうまく実施できないとなった場合、為替は大きな影響を受けることになりそうです。

現状では多くのアナリストがドルはさらに上昇すると見ていますし、ドル円については130円近い上昇を予想するアナリストさえ登場しています。

しかし利上げがうまくいかなくなった場合はドルが大幅下落する可能性もまだ十分に残されており、断定は禁物な状況が続きます。

インフレが進行すれば中央銀行ができることは利上げだけになるのでこれを諦めるというのは重大な政策の失敗にも繋がりかねず、パウエル議長に重要な判断が任されています。

ここからは1月のFOMCがどうなるのかに注目ですが、12月段階ではオミクロンの問題が全く織り込まれていなかったのもあり、こちらの対応も非常に大きな関心を集めそうです。

いずれにしても今年の相場を左右するのは主要国のインフレの進行の問題であり、その状況次第では相場も大きく変化することにあらかじめ十分に注意しなくてはなりません。