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中国で国会にあたる全人代・全国人民代表大会が3月11日に閉幕しました。

しかしその直後から人口1,700万人の中国南部の大都市・広東省深セン市で新型コロナウイルスの感染が急拡大し、事実上のロックダウンが開始されるなど風雲急を告げるような動きが示現しており、北京パラリンピックが終了したことで習近平国家主席が軍隊にげきを飛ばすといった報道も示現しており、なんとも不気味な状況を醸し出し始めています。

ウクライナ侵攻で西側諸国から厳しい経済制裁を受けているロシアはすでに3月16日からソブリン債の利払いが始まりますが、実際の利払いは1か月ほどの猶予期間があるもののまず3月16日に1億ドルを超える利払いがあり、さらに3月31日には3億ドル超、4月4日には20億ドル超の元本の返済を控えています。
これはロシアにとってかなり厳しい状況であり、すでに中国に対して武器の供与や融資を申し出ているのではないかという憶測も高まりつつあります。

果たして中国がウクライナ情勢に対してどう動くのか、さらにロシアと何をどのように連携していくのかが非常に注目されています。

習近平は中国人民解放軍に戦争準備指令を発令

習近平は第13期全人代の人民解放軍と武装警察部隊の分科会に出席した時、さまざまな緊急事態に対処し、国家の安全と安定を維持し、党と人民が与えた各種任務を完了するために戦争準備の業務をしっかり行うべしと演説したことがわかっています。

この時期に戦争準備を声高に発するというのも物騒な話ですが、実際にそうした命令が出ており、ここから何が起きるのかが非常に危惧されています。

時節柄ロシアのウクライナ侵攻に関連して何か行動を起こすのかという見方もありますが、中国がウクライナ情勢に直接関与する可能性はかなり低そうです。
むしろ独自に戦争準備をするとなれば誰しもが思い浮かぶのが台湾に対する挑発行動で、ロシアのウクライナ全面侵攻を思えば単なる挑発ではなく、西側諸国がロシアに対して集中的に対応している真っ最中に台湾に対して何かやらかす可能性は否定できません。

ただしロシアに対する世界の批判は想像以上のものがあり、今中国が台湾になにか戦争行為に近いことをしでかした場合の西側諸国の批判はかなり厳しいことになるであろうことは中国も十分に理解しているはずで、この時期にそんな迂闊な判断を下すのかどうかが非常に注目されてきています。

まさかとは思うがこれが現実になれば株も為替も大騒動に

今回のロシアのウクライナ侵攻でも判ることですが、為替の世界では初動はアルゴリズムが稼働して円高、スイスフラン高に相場は動きますが、やはり地政学リスクをもっとも受ける通貨は売られており、台湾近辺でなにか武力衝突が起きればドル円も最初は円高、その後その内容をみて今度は激しく円が売られる局面に陥ることが予想されます。

足もとでドル円はすでに118円台をつけ始めているだけに、中国のこうした動きがでればさらにドル高円安に動くリスクが高まり、非常に注意すべき時間帯にさしかかってきていることがわかります。

ウクライナ問題だけでも金融市場は相当疲れが出始めており、米株も乱高下を続けながら徐々に沈み込む動きを示現しはじめています。

さすがにここからは何も起こらないことを祈りたいところですが、ロシアも中国も得体のしれない指導者によって突き動かされる国なので、まさかの自体が発生することも十分に意識してトレードしていく必要がありそうです。

21世紀に入ってまさかこんなに戦争の脅威に市場がさらされることになるとは誰も想定していなかったはずですが、どうやら歴史は繰り返すというのが正しい見方になってきているようです。