米連邦準備制度理事会(FRB)が日本時間4月7日の午前3時に開示した3月のFOMC議事録では、多くの参加者が今後、通常の2倍である0.50%の利上げを1回かそれ以上するのが適切と発言していたことが明らかになりました。

3月会合でもすでにインフレリスクに対応するため多くの参加者が0.50%の利上げが好ましいと発言したものの、ロシアによるウクライナ侵攻で経済の不確実性が高まっていることを踏まえ、0.25%の利上げにとどめていたことが明らかになっています。

またFRBの資産の削減、いわゆるQTについては参加者全員が5月2、3日の次回会合から削減を開始することに同意していることも明らかになりました。
1カ月あたりの削減額の上限は950億ドルという具体的な数字も飛び出しており、FRBが本格的にインフレ退治に乗り出すことが鮮明となっています。

米株は総じてこうしたQTと利上げの組み合わせを嫌気しており大幅下落が止まらなくなっていますが、それでもFRBが5月のFOMCからこうした緩和の巻き戻しを押し通すのかが大きな注目点となってきます。

為替、ドル円は一旦材料が出尽くしたのか124円台に再上昇する動きにはなっていませんが、このまま下落サイクルに入るとも思えず、やがてどこかで再度上値を試しに行くことになりそうです。

125円は上昇相場の単なる通過点の可能性

ドル円長期チャート

ドル円は遅かれ早かれ黒田シーリングのラインとなった125.860円を試しに行きそうですがチャートで確認してみると、この2015年6月オバマ元米国大統領がG7でドル高けん制し、その後黒田日銀総裁がさらにそれをけん制発言したこの水準を超えてしまうと、心理的な節目の130円を超えればさらに上を目指す可能性が出始めていることがわかります。

こうなると125.860円越えは単なる通過点にすぎないことは明確で、上抜けた途端にさらに走る可能性がかなり高くなりそうです。

130円を超えても基本口先介入以外手立てなしか

130円を超えて常態的にこの水準を維持した相場になった場合、どこかで米国政府が強い不快感を示してくることになりそうですが、指摘を受けた日本の金融当局はここから円買い介入をしていくことは考えられず、当面の円安対策は結局日米高官が強力な口先介入をすることで相場を押し下げる以外なさそうです。

日銀は依然として円安の経済への影響は軽微とした姿勢を変えていませんし、そもそも為替は同行の担当範囲ではないので、ここからは財務省がどう対応するかに大きな注目が集まりそうです。

すでに日米の金融当局者はこのドル円の円安について話し合いをしているようですが、ウクライナ問題でそれどころではないバイデン政権は当面容認する可能性もあり、時間との戦いで想定をはるかに超えるような形でドル円がドル高に上昇するリスクは相当警戒しておいた方がいいでしょう。

直近の相場の動きを見ているとドル高よりも円安の材料の相場が激しく反応しており、やはり本邦サイドから飛び出す情報をきっかけとした円安起因のドル円ドル高に相当注意すべき時間帯と思われます。

シーズナルサイクル的に見ると4月は月初ドル高でも後半に向けて下げていく傾向が強く、5月以降は逆にドル安傾向が続くことが多い時期となり、上昇するなら早い時期の展開が必要です。

とくに5月4日(日本時間では5日午前3時)というゴールデンウイーク真っ最中の次回FOMCで予想どおりの利上げとQT実施が決定した場合、材料出尽くしで下げることになるのか、あるいはさらに続伸することになるかは非常に注目されるでしょう。

米株は完全にFRBの緩和巻き戻しに嫌気する動きとなっていますので、相場が下がりに下がった場合でもインフレを優先してFOMCの政策決定が下されるのかはまだわからないのが実情です。

4月相場も結構荒い値動きが継続しそうな雰囲気が高まってきました。