ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年2月24日から、すでに2年近くの年月が経過しました。

戦争が長期化する中、ウクライナのゼレンスキー大統領は、スイスで開催されているダボス会議において、支援の継続とロシアへの制裁を訴える演説を行いました。

しかしここ最近、イスラエル情勢の緊迫により、ウクライナに対する国際社会の関心は著しく低下していることが改めて露見する状況となっています。

 

Photo Reuters 共同 ダボス会議で演説するゼレンスキー大統領

 

ゼレンスキー大統領は、演説の席で「戦争は、公正で安定した平和で終わらせなければならない」とし、一時的な停戦ではなくロシアを敗北させることが重要だと強調しました。

それと同時に、欧米諸国側へ継続的な支援を呼びかけましたが、以前のような熱狂的な反応はなく、この2年でウクライナ戦争に対する国際社会の関心が大きく変化し始めていることが浮き彫りになりつつあります。

EUはウクライナの早期加盟のため、引き続き支援することを表明しており、EUから独立した英国も強い支援を表明していますが、NATO加盟国およびEU加盟国はすでにこの戦争による支援疲れを露わにしています。

特に資金や兵器の供与において、すでに限界に達している国々は、ウクライナが負ければ第三次世界大戦に発展するというゼレンスキー大統領の発言も、全く響いていない状況です。

膨大な連邦債務を抱える米国は継続的な資金提供が難しい状況に

ゼレンスキー大統領としては、米国が資金面や戦略面において最後までウクライナをサポートしてくれるものと確信していたようですが、米国側は連邦債務が未曾有の水準にまで達しており、他国の戦争に資金や軍事物資を供給できる状態ではなくなりつつあります。

それゆえ米国は、今回の会議でゼレンスキー大統領に対し和平交渉による戦争の終結を模索する様アドバイスを行っています。

また、ゼレンスキー大統領は会議の開催期間中、ロシアと関係を強化している中国に対し和平案協議への参加を打診したようですが、結果的に話し合いの糸口すら掴めないまま空振りに終わっています。

具体的なファンディングを期待して行われたJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOとの会談においても、ダイモン氏は「神の御加護がありますように」と述べるにとどまり、話し合いに具体的な進展は見られませんでした。

この先ウクライナ戦争をどう終結させるかが、今後の大きなテーマとなりそうですが、終戦となるか敗戦となるかにより、経済に与える影響も大きく変わってくることが予想されます。

終戦でも敗戦でも米株欧州株は上昇の見込み

ウクライナにとって、この戦争がこのまま終結するのか、それとも敗戦し何かしらの犠牲を余儀なくされるのかは非常に大きな問題ですが、平和の配当とも言われる株式市場においては、兎にも角にも戦争の終結が望まれていることは間違いありません。

日本は、米国に言われるがままに資金提供を続けていますが、仮にウクライナが敗戦という形で戦争が終結した場合、今度は復興資金をどれだけ提供できるかが問題に上がることは明白です。

ややもすればロシアに巻き上げられかねない状況であるだけに、岸田政権には思慮深い判断が迫られることになります。

対立が長期化すれば基軸通貨の座を奪われる可能性も

ここ最近、米国などがウクライナ戦争によるロシアへの制裁として、ロシアの資産や外貨準備の米債などを凍結したことが大きな問題となっています。

そのため、今後米債は特に益々売れなくなり、BRICSプラスやグローバルサウスの国々は、脱米ドルの道を歩み始めていくことが予想されます。

近い将来、他の通貨に基軸通貨の座を奪われれば、原油輸出をドル建てで行う「ペトロダラー体制」が機能しなくなり、ウクライナを背後から支えたことで思わぬ代償を支払うリスクが高まります。

さらに、この戦いはイスラエルの戦争にも飛び火する可能性があるだけに、この先のウクライナにおける戦争終結の仕方に大きな注目が集まっています。

これに、バイデン大統領の次男坊であるハンター氏の税金未納問題や銃所持をめぐる身内スキャンダルが尾を引けば、事態はさらに複雑化することが予想されるため、ここからはクリティカルな時間帯が続いていきそうです。