9月相場は様々な材料が持ち込まれ、事前想定をはるかに超えた荒れ相場となった1か月でした。
週明けからは10月相場になりますが、果たして落ち着きを取り戻すことができるのか、さらに荒れた展開になるかが注目される1か月になりそうです。
米国は依然としてインフレ対策のために利上げを粛々と続ける意向が強まっており、年末までにはFF金利が4.2％を超える勢いであることから、それだけでもドル買い需要が強まっている状況です。
さらに欧州や英国はインフレ対策でも必ずしも積極的な利上げができず、とくに英国はすでに引き締めから緩和へと一時的に舵を切るといった驚きの政策を繰り出してきており、この政策コントラストが一層ドル高を助長する可能性が高まります。
また、米株の下落も深刻でまだ底をつけたとは言えない状況なので、これが為替に与える影響も考えていかなくてはならず、相場はさらに複雑さを高めています。
久々にFRB、ECB以外の中央銀行の政策に振らされた相場
9月最終週は英国トラス政権の大幅財政出動とその後のBOEの突然の政策変更でポンドが大きく下落し、その後猛烈な上昇を果たして全値戻しに近い動きをすることとなりました。
9月の前半はほとんどなにも大きな動きがなかっただけに市場は完全に不意を突かれる形となりましたが、日頃ポンドを取引していないトレーダーの方はほかのクロス円を見ていても一体なにが起きたのか即座には理解できない状況に陥ったものと思われます。
そのぐらいほかの通貨ペアにも影響を与える結果となってしまいました。
週明けは先週のような激しい相場が示現することはないと思われますが、英国をとりまくすべての経済問題がBOEの一時的緩和策で解決したわけではないので、さらに揺り返しのような動きがでることにも警戒したいところです。
ここ数年中央銀行の政策で相場が大きく動くというのはFRBとECBぐらいになっていたので、BOE起因で相場が大きく動くというのはかなり違和感のある状況ですが、ここからはそういうこともありうるということをしっかり認識しておく必要がありそうです。
ドル円は週末雇用統計での数字の悪化からネガティブサプライズに注意
ドル円は先週、介入効果からか145円手前でショートが溜まっても上抜けする動きが見られず、ほぼ5日間レンジ相場を続けることとなりました。
9月30日に発表された令和4年8月30日～令和4年9月28日における外国為替平衡操作額は2兆8,382億円ということで事前の予想よりは若干少ない金額でしたが、3兆円弱の介入で5円以上の相場下落が実現できることが判明したことから、ここから投機筋がこの情報をどう理解するかが注目されることになりそうです。
いまのところ現金で投入できる総資金は21兆円程度あると言われており、残りは18兆円程度、同規模の介入なら6回分の原資が残されていることになり、145円を超えればまた介入が行われる可能性はかなり高くなりそうです。
ただ145円手前で止まっている相場はそれなりにエネルギーが溜まっていて、どこかで投機筋の一部が上を試しに行くことは想定しておきたいところです。
また、145円を超えても緩やかな上昇の場合財務省が介入しないこともありえそうで、ここからの相場展開が注目されるとこです。
週末には9月分の雇用統計の発表がありますが、失業率が高まることになるとドルが売られる展開となることも予想されるので、まさかの下落にも注意を払いたいところです。
10月は例年ドル円が後半に弱含むことが多くなりますが、今年は金利が大きく上昇しているのでそれがワークするかも確かめる必要がありそうです。
ユーロはロシアからのエネルギー問題を引きずりさらに下げる可能性も
ユーロドルは9月最終週ポンドの影響を受けてやはり大きく下げを演じることとなりましたが、後半は戻りを試す展開となりました。
しかしすでにアンダーパリティは定着した動きとなっており、ここからはインフレがさらに進行するとともにリセッションの確率が高まることで対ドルでは間違いなくさらに値を下げそうな状況で、迂闊な買い向かいは十分に注意したい時間帯に入ります。
さすがに売られ過ぎ感もありますが、悪化した経済指標などがでてくればまた沈み込む可能性は高く、今年の冬に向けてユーロは強く推移しない可能性がかなり高くなりそうです。
10月に入って今年もあと3か月、金融市場はもっとも利益を獲得すべき時間帯に入りますが、足もとの相場は一筋縄ではいかないほど難しく、複雑な動きになってきているので、先行きを断定することなく柔軟に取引できるように準備をしていきたいところです。
相場が良く判らないと思ったときには、一旦立ち止まって様子を見るといった用心深さも必要になる1週間です。
