今年9月24日、AppStoreからiPhoneやiPadからMT4とMT5のアプリが事前に予告なくいきなり削除されてしまい、アップルデバイスだけで為替取引を行うユーザーに衝撃が走りました。
ただ、新規にダウンロードできないだけで、すでにダウンロードして利用しているユーザーはそのまま継続して利用可能ということがわかり、多少は不安が和らいでいます。

しかしタイミング悪くiPhoneに新製品が登場したため、アンドロイド端末から切り替えたユーザーやバックアップをうまくとっておらずに新規に機種交換をしたユーザーには新たな混乱が生じてしまったようです。

海外FXブローカーはほとんどがMT4またはMT5を利用したトレードとなっているので、そのアプリが使えないというのは致命的な問題ですが、なぜこんなことがいきなり起きたのかを探ってみると、意外な理由が見つかりました。

セキュリティ上の問題で削除されたのが本当の理由

ダウンロードができなくなった当初、MT4・MT5の開発元であるメタクオーツの本社が元々ロシアにあり、現在はキプロスに本社を移りましたがかなりロシア人社員の多い会社であることから、ウクライナ侵攻によるロシアへの経済制裁からメタクォーツのソフトも使えなくなったのではといった憶測が飛び交いました。
ただアンドロイド端末については同様の措置がとられていないため、ロシア制裁が原因とするのは判断が早すぎるようで、深く調べてみると他に原因があることが見えてきました。

実は米国上院の銀行委員会がMT4に関して、仮想通貨詐欺アプリから顧客を守るようAppleとGoogleに要請した結果、アップルだけがいち早く対応してAppStoreからMT4、MT5のダウンロードを削除したことが判明しました。
米国では出会い系サイトでカモを釣り、MT4を介して偽の取引所へ送金させる詐欺行為が激増しており、昨年の被害総額は5.4億ドルに登っていることが明らかになっています。

メタクオーツ社は削除から2週間経過してもオフィシャルなコメントを発表していませんが、場合によってはグーグルも同種の対応に出ること考えられ、注意が必要になりそうです。

すでに利用しているユーザーであれば継続利用可能

すでにMT4やMT5をインストールして利用しているユーザーはそのまま利用が可能なので一安心ですが、自動的にアップロードする機能は一旦オフにして、様子を見ることがお勧めです。
また、すべてをバックアップして新機種に交換して内容を入れ替えた場合でも継続利用は可能となるようです。

過去にAppleIDを利用してMT4やMT5アプリをインストールし、現在iPhoneにアプリがインストールされていないのであれば再インストールも可能とのことです。
ただ、アンドロイド端末からアップル端末に乗り換えたといった状況では利用できなくなっているので注意が必要です。

最善の簡単な対策はウェブトレーダーを利用すること

多くの海外FXブローカーは、スマホでトレードするならば各社で設定しているウェブトレーダーを利用することを推奨しています。
ウェブトレーダーならばアプリに依存しないので安心してトレードが可能ですが、実際に利用してみるとMT4などと機能は同じでもユーザーインターフェースが異なるため、試しに利用してみてからでないとリアルなトレードにならない可能性もあり、まずは利用してみるところから始めなくてはなりません。
また一部のブローカーのウェブトレーダーはiPadでのみ使えるものもあるので、ぶっつけ本番の利用は避けるべきでしょう。

AndroidやPCは問題なく使える状況だが突然の変化に注意

今のところアンドロイド端末やPCではMT4やMT5の利用は全く制限されていませんが、米国で詐欺アプリとして指摘されている関係上グーグルはなにか対策を打ってくることが考えられ、こちらもここからの動向に細心の注意を払う必要がありそうです。
パソコンでの利用の場合こうしたサプライヤーからの制限がかからないのでもっとも利用が確実なデバイスとなりそうですが、いずれにしてもメタクォーツ社自体によるセキュリティ対策が必要で早期の対応が望まれるところです。

XMTradingならMT5とほぼ同じXMTradingの公式アプリの利用も可能

ちなみに国内でもっとも人気のある海外FXブローカーであるXMTradingでは、XMTrading公式アプリを発行しておりMT5アカウントでこれが利用できます。
このアプリはXMTradingが独自開発したものですが、MT4では利用できません。
XMTradingのウェブトレーダーはiPadでは利用できますが、iPhoneではすべてが表示されないという問題があるため、やはりこちらの公式アプリを利用することが得策になりそうです。

海外FXブローカーの場合、国内のブローカーのように独自取引ツールの開発をせずにMT4、MT5のようなシェアウェアを利用することで余分なコストを削減するという戦略に出ていますが、肝心要の取引ツールに問題が発生してしまうと、とんでもないリスクに見舞われてしまいます。
かつてこうしたリスクに見舞われることはありませんでしたが、スマホだけでトレードされている方はPCも予備で備えるなど、万全の対策をして臨むことが必要になるでしょう。