4月第3週の為替相場は相変わらず米国の経済指標の結果に振らされる展開でした。
発表される数字が想定を上回れば躊躇なくドル円は上昇しましたが、逆に下まわれば大きく下落するという一喜一憂の状況が延々と続きました。
とくに大きかったのはNY連銀の景気指数が市場予測よりもはるかに突出した結果になったことで、通常はほとんど反応しないこの手の指標に激しく市場が反応したのには驚かされることになりました。
またポンド円の上昇に引っ張られるように上昇した挙句に日銀がYCCの撤廃に躊躇しているといった報道が出たことから瞬間135円を超えて跳ねる場面もありましたが、大きなコールオプション見合いのガンマトレードが激しく炸裂し一気に134円台中盤以下まで値を下げるといった強烈な展開となってしまいます。
その後20日の米フィラデルフィア連銀景況指数の発表、週間新規失業保険の申請件数、さらにその後に出た米景気先行指数は事前予想を下まわり、この日のNYタイムには134円ぎりぎりまで下落し、その後明けた22日には東京タイムで133円台中盤までドル円は沈み込むことになりました。
しかしこの日のNYタイムに発表された4月米製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値が予想を上回ったことから、一転してドル買いが進みショートカバー気味に134.49円まで値を上げる動きとなりましたが、さすがに週末ということもあり134円台初頭で週の取引を終えています。
指標次第で上げたり下げたりまた上げたりという方向感のない相場が延々と続いており、週明けもこうした動きが続きそうな状況です。
本来週足で134.300円より上で終了すればさらに上値を狙いにいくことも考えられますが、それが維持できなかったため週明け相場はまた微妙な展開になりそうです。
日足ベースで見ると下値は切りあがっているように見えますが、テクニカルでは判断できないような指標結果次第の相場は相当取引が難しく、とにかく利益がでたらポジションを手仕舞いして新しい指標結果をみてから次の取引を考えるといったやり方が強く求められる時間帯になってきています。
あとからチャートを見れば大した相場には見えないですが、実際には投げと踏みの応酬に巻き込まれやすく、損をしないように立ち回るのが相当難しさを増していることがわかります。
週足ベースでは引き続き上昇過程にあるドル円ですが、テクニカルでは把握できない日々の激しい上下動を考えるととにかく短い時間足で取引して毎回利益をしっかり確保する利食千人力の姿勢が重要です。
週明けは引き続き米国指標が盛り沢山
4月最終週の相場では米2月ケースシラー住宅価格指数や、FHFA住宅価格指数、米4月カンファレンスボード消費者信頼感指数、新築住宅販売件数、耐久財受注、米第1四半期GDP速報値、PCEデフレータ、シカゴ購買部協会景気指数といった指標が次々に発表となるので、またその結果次第では激しい上下動が示現することは間違いなく、NYタイムの午後9時半から12時あたりまでの相場の動きには細心の注意を払うことが求められます。
日銀植田新体制下初の会合にも注目が集まる
週明けは28日に植田新体制下初の日銀政策決定会合の結果が発表されます。
本邦勢は総じて何も変化なく通過するものと理解していますが、海外勢はこの場に及んでもそうした理解をしない向きが多く存在しているようで、とくに4月21日に発表された本邦のコアコアCPIが急上昇していることを受けてYCCを維持するのはもはや難しいと見る市場参加者が後をたたず、週明け早々から28日まではジワリと円高方向に下落圧力が高まることも予想されます。
結果変更なしの発表で大きく買い戻しが発生するのにも注意が必要です。
レンジ状態のユーロドルはドル次第でさらなる上昇も
一方ユーロドルは先週ほぼレンジ相場で推移することとなりました。
ただECBメンバーによる相次ぐタカ派的な発言が続くことに加え、FRBの利上げ上限に限界がいえてくるようであれば相対的な金融当局の政策の方向性の違いが明確になり、ユーロドルがもう一段上昇する可能性はありそうな状況です。
ドルは対円でみますと強さを保っていますがドルストレート全般では必ずしも強い動きにはなっておらず、ユーロが上昇することを期待することも出来そうな時間に入ってきています。
市場はFRBの政策決定を大きく意識しているためユーロ単体の動きは意外に強い関心は集めていませんが、ドル円を取引するよりは相場の動きは明確なようで、この時期ユーロドルに注目していくのも一つのやり方になりそうです。
全体的に為替相場は方向感がなく、5月のFOMCを通過するまではこんな状態が延々と続きそうな嫌な雰囲気が漂います。
それだけに相場の先行きを断定することなくフレキシブルに対応できる姿勢が求められそうです。