23日金融市場はジャクソンホールでのパウエル講演の中身に驚くほど注目していましたが、実はその前に突然嫌がらせのように中国政府が発表した米国の追加関税策に対する報復の750億ドル程度の米国からの輸入品への5~10%関税上乗せ実施の報道を受けて、こちらの話が相場の大きなテーマになってしまい株式市場は驚くほどの下落を示現する結果となってしまいました。

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いきなり再発した米中の関税戦争

中国政府が発表した報復関税の中身は米国からの輸入品約750億ドル相当に対し、9月1日から最大10%の追加関税を課すというものでG7があるにも関わらずジャクソンホールでのパウエル講演に前にあえてぶつけてきたとしか思えないタイミングの発表に相場は揺れることになりました。報復関税の対象は5078品目で、10%もしくは5%の税率を上乗せするとしています。実施のタイミングは米国の制裁関税導入の時期に完全にシンクロさせるかたちでまず9月1日に1717品目、12月15日に3361品目と2回に分けて実施することを表明しています。しかし金額的には米国の3000億ドルの四分の一程度であることから、為替や債券の売りなどほかにもさらに報復措置が飛び出すリスクがありそうです。

この中国からの報復関税にいきり立ったのがトランプ大統領でこれまでに課している2500億ドル相当の中国製品に対する関税を現在の25%から30%に引き上げると表明し、10月1日から適用することを発表しています。さらに中国製品3000億ドルに課す追加関税第4弾の税率も10%から15%に引き上げるとしており完全な全面戦争に突入してしまった感が否めません。

週明けから相場はさらに下落するリスクに直面

このコラムが掲載されるころにはすでに26日の早朝にドル関連の通貨は大きく窓開けしてギャップダウンから始まることが予想されますが、ここからは一時的に下げるだけとはいかない様相で株も含めてかなり大きな下落を示現するリスクが急激に高まりそうです。またトランプ大統領は米系企業に対し中国の代替先を即時に模索するようにとの指示をしており、おおくの中国での事業を米国内に戻して生産するなど適切な対応を求めています。我々に中国は必要なり、率直に言えば中国がいないほうが状況はましだろうといった過激な発言もツイートしており、一時的な感情の爆発だけで言い放っているとは思えない危機感が感じられます。

トランプは一旦の相場下落に腹をくくった可能性も

トランプはFRBの利下げ対応が遅いことをかなりの勢いで罵っていますが、株価は対中貿易紛争をめぐっても大きく下落が予想される事態になってきていることから、相場の暴落自身は一旦諦めることで腹をくくっている可能性がではじめています。

大統領選までまだ15か月近くあるわけですから手練手管の政策で高値を維持するのは至難の業であり、一旦大きく下落させたところでその原因をすべてFRBパウエル議長に押し付け最終的には利下げのみならずQE4を実施させることで来年の選挙前に大きく相場が回復することを狙う戦略に変更してきている可能性を強く感じます。実際QE4を実施するならば相場が大きく崩れたほうがその大義名分になることは間違いありませんからここから相場の下落を容認するというのもかなり可能性が高そうな状況になってきています。こうなるとテクニカルで相場を見るのは非常に危険で、下落の材料をしっかり見極めたところで底値になるまで買い向かうのをとどまることが重要になってきそうです。週末にフランスで開催されるG7もほとんど何の成果もでない状況ですから、週明け早々下落が継続する相場状況には相当注意が必要です。

ドル円は105円割れると年末までに100円を目指す


ここまでドル円相場が下がってきますと当然105円割れをトライすることは間違いなさそうですが、GPIF等のPKO部隊が官邸からの要請で下値にオーダーを入れているとは言われるものの為替介入ではありませんからあっさり下値を抜ける可能性も高く、またこれまで大量に存在していた105円のバリアオプションがほぼエキスパイアした状態ですからドル円のマザーマーケットである東京タイムに105円割れを明確に示す危険性はかなり高そうです。またこれを下抜けた場合一気に走るかどうかはわかりませんが、100円台まで節目がほとんどありませんから、さらに下押すリスクは免れず週明けの相場がどうなるのかを注視していきたいところです。8月最終週、株も為替相場も俄かに危険な雰囲気が醸成されはじめています。