週明け26日からはジャクソンホールにおけるFRBの年次会合が開催されますが、先週からのデルタ株感染急拡大に伴って今年もオンラインによる開催が決定しました。
市場が大注目するFRBパウエル議長の講演は27日日本時間の午後11時からオンラインで開催され、ここで何かテーパリング等政策の先行きを示唆されるのかどうか大きな注目が集まります。
21日のロイターの報道によればジャネットイエレン財務長官はパウエル議長の来年の再任をサポートすると発言しており、これが事実であればパウエル発言はさらに重要度を増します。
ただし政権との親和性が高まれば高まるほど金融緩和の終わりを持ち出し利上げを実施することは難しくなるだけに、パウエル議長の発言のトーンに非常に関心が集まります。
債券市場の金利は下落傾向で米株は上昇更新とテーパリングを全く織込んでいない
為替市場ではテーパリングの実施時期がかなり大きなテーマになっており、投機筋が仕掛けているせいもあるのか米国の経済指標が良ければドルが買われるといった単純な動きになりがちです。
恐らく催促相場的な意味合いもあって、週明けは27日に向けてまたドルの買いあがりが再開することになるのかも知れません。
しかし非常に興味深いのはここへ来て米債の金利は低下を続けており、テーパリングの実施を全く織り込みに行っていないということです。
また米株市場も夏場の多少の調整が出始めていますが、テーパリング実施を予期して下げる動きは続いていません。
この米株相場はアフガニスタンをタリバンが全権掌握したことにも反応しておらず、市場のテーマとして何にフォーカスしているのか不透明です。
このように事前の織り込みがないだけにひとたびテーパリングの年内実施示唆などが出るといきなり相場が反応することも考えられ、かなり注意が必要になりそうです。
また為替のように積極的にテーパリングを織り込んでいる市場では、実施が決定したところで噂で買って事実売りといった動きが出ることも想定しておいた方が良いでしょう。
株も為替も出来高が異常に少ないのも気になるところ
日本ではお盆ウイークが終わり徐々に夏休みは終わりに向かっていますが、欧米では引き続き今年は夏休みをしっかり取得する市場参加者が多いようです。
それが理由なのかどうかは全く判りませんが、最近の株や為替相場も出来高は驚くほど少なく、例年に比べて過少な状況が継続中です。
こうなると夏枯れだからボラティリティのない相場なのだと断定するのはかなり危なく、例を挙げると8月9日の東京タイムにいきなり金の先物がドルべースで暴落したように、低ボラティリティの中で突然大きな売り注文などが市場にぶち込まれてしまうと驚くほど相場が下落する、といったリスクがつきまとうだけに現状の出来高の少ない相場にも相当な注意が必要になるでしょう。
為替の世界ではドル高ですが安全資産である円へ資金シフトが進み始めていることから、クロス円はここへきて大きくメルトダウンしはじめた印象があります。
オセアニア通貨はこの時期総じて弱含むので夏を終えれば状況が変化することは期待できますが、それ以外のユーロ円やポンド円などの動きと共に新興国通貨のクロス円についても相当警戒する必要が出てきています。
欧米市場と日本市場では為替に登場するテーマが食い違い始めている感じもあり、ドル円は日経平均、TOPIXが大きく落ち込むとそれに連動して下落するという動きも見せ始めていますので、従来からの相関性、逆相関性だけを頼りにした売買もかなり厳しくなりつつあるようです。
こうした時間帯は思い込みだけで一方向に取引することは極力避けて、相場自体の動きを正確にとらえてトレードしていくことが重要です。
特にどの通貨ペアでも逆張りは突き抜けるリスクが高まるので、必ずストップロスを設定することも大切です。
9月に入るとまた相場の雰囲気は一変するものですがそれまではかなり用心深いトレードを続けていくことが重要でしょう。