年初からかなり下げた米株相場でしたが、7月に入って一旦底打ちした様な動きも示現しはじめ、足もとの8月相場ではS&P500を中心にかなりの戻りをためす展開になっています。
しかしこの動きを見ても多くの投資ファンドは様子見を決め込み、この動きに飛び乗った投資家たちとは一線を画す動きを示現させています。
果たして彼らはこの先の相場をどう予測しているのか、またそれが当たる可能性はどの位あるのかについて考えてみます。
多くのファンドは米株の下落がまだ途上であると見ている模様
8月相場というのは想定外の相場の動きが示現することが多く、夏休みを間に挟む投資ファンドのマネージャーは保有ポジションのボリュームを落したり、勢いでリカクして9月から入りなおすといったドラスティックな動きをすることが多くみられます。
しかし足もとの相場におけるファンドの動向はそれよりもはるかにドラスティックで、多くのファンドがさらに厳しい相場状況が示現することに構え始めていることが見えてきます。
過去10年近く米株市場ではアルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)、アップル(ティッカーシンボル:AAPL)、元フェイスブック、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)、マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)株を買って、それと同額のS&P500をヘッジで売っていれば確実にGAFAMの株価の上昇が得られ、簡単にその差分の利益を毎年ごっそり得るファンドマネージャーが続出していました。
しかし今年の4月以降はそうはいかない状況が続き、アップルに集中投下をしてきたバークシャーハザウェイのウォーレンバフェットも、2022年4~6月期決算は最終損益が437億5500万ドル(約5兆9000億円)の赤字を計上しており、いままで通りの投資手法、戦略が既にワークしなくなっていることを示唆し始めています。
いつも素早く行動する投資ファンドがこうした状況に気づかないはずがなく、当面の底を打ったから買い向かうという動きにでていないのには相場の先行きに懐疑的なものがあることが推測されます。
インフレやリセッションに対する市場の拙速な反応にも違和感をもつファンド勢
直近の市場では、米国のインフレがすでにピークアウトしたのではないかとかリセッションは回避できたという解釈が飛び交い、そのたびに相場は上下動を繰り返し債券金利や為替にも大きな影響を与えています。
しかし過去の米国のインフレの推移を見ていると単月のCPIの上下動だけからピークアウトなどを安易に語れないことは明白で、足もとの相場の無節操でいいところどりの相場予測とファンドの先行き見立てがかなり差が発生していることもファンドの相場離脱に繋がっているものと思われます。
8月5日付けのブルームバーグにアナログチャート分析モデルが掲載されて話題となりました。
上のチャートが2008年のS&P500のチャートと現状を比較したものですが、単純にチャートの形状を比較するアナログチャート分析では今年の相場の動きが2008年の動きと酷似しており、このまま相関性をもって動くのであれば年末に向けて相場が下落するリスクがあるというものです。
ここまで形状が酷似しているからここから先も同じように動くと判断するのはあまりにも適当ではありますが、アナログ分析では過去にも当たりを示現したケースがあり、必ずしも無視できない状況にあります。
相場の先行きは残念ながら誰にも分からないので誰の予測を信用するかは非常に大きな問題になりそうですが、長年相場に関わっているファンド勢が米国の中間選挙に向けてここから相場がするする上昇するとは見ていない点については、我々個人投資家も十分注意しながら先行き判断していくことが重要になりそうです。
どんな時でも相場に関わって利益にありつくのが仕事のファンド勢が、一斉に相場から撤退して様子見を決め込んでいるという状況はやはり無視できないものがあります。