今年もいよいよ大詰めを迎えていますが、毎年この時期になるといくつものメディアで、為替の専門家であるアナリストたちが来年末のドル円がどの水準にあるかを予測します。

メディアの企画であるため、渋々予想するアナリストもいれば、自信満々のアナリストもいますが、昨年は8割近くのアナリストが円高になることを予想しており結果は大ハズレとなっていました。

為替の先行きを予測するのは大変難しいことですが、プロのアナリストが揃いも揃って予測を外したのには、日米の中央銀行による政策の見誤りが大きな要因となっているようです。

アナリストが見誤ったFRBによる利上げの継続姿勢

Photo Fed

 

為替のみならず金融関係全般のアナリストたちが、相場予測を大きく外す要因になったのが米国FRBによる利上げ継続です。

インフレ対策として2022年に始まったFRBの利上げは、昨年の段階で2023年の春先には完全に終了するのではないかとの楽観的な憶測が市場に広がっており、多くの為替アナリストたちもそれを支持するような姿勢を見せていました。

しかし現実には2023年後半まで継続することとなり、米国の政策金利も5.25%を超えるところまで上昇する結果となりました。

日銀新総裁の政策変更についても多くのアナリストが誤認識

Photo 日銀

 

FRBの政策決定とともに予測を裏切ったのが日銀の政策決定です。

国内外のアナリストたちは、4月に植田新総裁が就任することで日本はマイナス金利を終了し利上げにシフトするのではないかとの予測を立てました。

しかしマイナス金利の解除は見送りとなったため、改めて植田総裁が緩和継続をコミットしたことで総裁に起用された存在であることを想起させる結果となりました。

インフレ対策のため主要国のほとんどが積極的に利上げを行っており、トルコの中銀でさえその後を追う中、日本だけがマイナス金利を維持し続けているのはあまりにも異質な状況であることを考えると、日銀政策変更の予測の声が多かったのも頷ける状況です。

結果的にドル高円安が進行するであろうという事前の予想とは裏腹に、金利の上昇する米国と主要国の中で唯一マイナス金利を続ける日本との金融政策上のコントラストがより一層強くなった状態のまま年末を迎えることとなりました。

これらの要因は、今年円高にシフトすると考えたアナリストたちに、来年の年末こそ130円や120円台まで円高が進むのではないかという見方を強めることにもなりました。

2022年と酷似する2023年のドル円チャート

具体的にチャートを並べてみると、2023年のドル円チャートは2022年の形状と酷似していることがわかります。

2023年は為替介入がなかった分、秋口の下落は限定的でしたがダブルトップを形成するような展開になっています。

 

 

昨年の段階では、多くのアナリストたちがこのような年末相場になることをイメージできず、年末は120円から110円台まで円高が進むと予測していました。

2022年にFRBが利上げをスタートした時点でドル円は115円だったためこのような予測となったと思われますが、戦争などの不測の事態が起こらなかったとしても、為替相場の1年先を予測するのは非常に難しいことが窺い知れます。

また相場における1年後の価格水準を見事に当てることができたとしても、トレンドを維持してその価格水準に到達するのか、それとも大きく上昇または下落した後に値を戻す形でその水準に到達するのかによっても、トレードの方法は大きく変わるということはしっかり認識しておきたいところです。

為替を専門とするアナリストでさえ難しい相場の先行きを、個人投資家が予測することは困難を極めるため、先入観にとらわれず臨機応変に動きについていくことが、トレードの成功を得るカギになりそうです。