2024年の年明けから、いよいよ新NISAの導入が始まります。

岸田政権は米国から強い要請を受けたためか、「所得倍増計画」から「資産所得倍増計画」へと、いつの間にかその政策名を変更し国を挙げて投資での資産形成を推奨しています。

非課税枠に該当しない金融投資を行う個人投資家にとっては、あまり関係がないように思われますが、この制度改定は市場全体にも影響が及ぶ可能性があるため、その枠組みをしっかりと知っておく必要があります。

すでに多くの証券会社が事前PRを行っているためご存知の方も多いかと思われますが、新NISA制度の大きなポイントは以下の4つです。

非課税保有期間の無期限化

現行NISA制度の非課税保有期間は、一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間に限られていましたが、新NISAでは非課税保有期間が無期限となりました。

これにより、長期的な資産運用が可能となります。

年間投資枠の拡大

現行のNISAでは、年間の投資上限額が一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円となっていましたが、新NISA制度では360万円まで増額されました。

これにより、さらに多くの資産を非課税で運用することができるようになります。

つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能

現行のNISA制度には「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があり、そののどちらかを選択する必要がありましたが、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2枠となり、併用も可能になりました。

非課税枠の再利用が可能

新NISAでは、保有資産を売却すれば非課税保有限度額の枠を再利用することができます。

そのため、投資意向の変化やマーケット環境に合わせて保有資産を調整することも可能になります。

 

国内の個人投資家は、この新NISA制度を利用して国内よりもはるかに利益を獲得しやすい米国株式市場に資金を投入するであろうことが予想されます。

これも円キャリートレードの一部となるため、日本円からドル転するタイミングで円高が抑制される可能性が高くなります。

昨年はドル円、米株の上昇により多くの投資家が利益を獲得

2024年1月よりスタートしたばかりの新NISAですが、日本の個人投資家の多くが新制度の導入前から、円でドル資金を調達し米国市場で米株投資を行っています。

昨年の米株は、主要3指数(ダウ工業株30種、ナスダック総合、S&P総合500種)ともに大きく上昇しており、個別銘柄取引や指数取引において大きな利益を得た個人投資家が多かったことが特徴的です。

さらにドル円は昨年一年間で7.3%強上昇しており、一時的に152円の一歩手前をつけたタイミングでは16%近くも上昇しています。

結果的に、昨年は為替と株価の双方で利益獲得のチャンスに恵まれた一年となりました。

S&P500は年初来23.79%の上昇

 

NAS100は年初来52.43%の上昇

 

NYダウでも年初来13.7%の上昇

 

誰でも儲かった1年と言うと少々言い過ぎかもしれませんが、国内における多くの個人投資家が昨年一年の米株投資で利益獲得経験を積んだことがわかります。

新NISAの導入は必ずしも昨年のような利益をもたらさない可能性も

ただ米株は3指数ともすでに史上最高値に近い水準にあるため、新NISA制度が導入されたからと言ってすぐに飛びつくのはいささか問題があります。

株は単に Buy&Hold すればいいというものではなく、底値で買って高値で売ることが基本になるため、新しい非課税制度の導入時期は決して買いのタイミングではないことを理解しなくてはなりません。

 

米国ではバイデン政権が今年11月に行われる大統領選挙を前に、とにかく株価を下げないよう必死ですが、上昇基調を維持しここからさらに上昇するかどうかは不透明な状況です。

FRBが拙速に利下げに踏み切れば、相場はそれをきっかけにして大幅下落する危険性もあります。

投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏も、直近の四半期では株の配当が短期債と預金の金利収入を上回ったことから、足元では積極的に株買いをしておらず、次の大幅な下げのタイミングを狙っているとも言われています。

ウォーレン・バフェット氏は、市場参加者の多くが資金を失ってしまった大暴落の際も、暴落株を買っては後の回復で莫大な利益をえるという方法を過去に何度も繰り返しています。

株式市場において投資のタイミングは重要なポイントになるため、新しい非課税制度がスタートしたからと言って安易に手を出すことは、非常に大きなリスクが伴います。

株価下落時は海外FXを効率よく利用しリスクヘッジ

新NISAの非課税枠を使って投資する場合、株価が大幅に下がっても塩漬けにして元に戻るのを待てばいいと思われがちですが、日本では1989年の最高値から35年近く経った今でも、当時の水準には戻っていない状況を考えなくてはなりません。

米国でも、一旦暴落が起きれば回復までに10年から14年の年月がかかっているため、高値で株を買うという行為はすべての投資利益を台無しにする可能性があることは肝に銘じて置く必要があります。

非課税枠の売買では塩漬けになりがちですが、相場の下落時には海外FXを利用し、ドル円や指数CFD、さらには個別株CFDを空売りするというリスクヘッジの方法を選択肢とするのもいいでしょう。

円からドル転し米国株式に投資するのであれば、円高局面においては機関投資家が行うように現物はそのまま保有し、下落のタイミングだけを狙ってヘッジ売りをだせば損失は簡単にカバーできるようになります。

ただしヘッジ売りは、残念ながら非課税にはならないため注意が必要です。

分割の積み立て投資であっても、やはり相場の安いところからスタートするのが断然有利になるため、新NISA制度についてもよく研究し導入することが大切です。

早速、新NISAでの運用をお考えであれば、海外FXのドル円や株価指数CFD、個別株CFDのヘッジ売り取引を組み合わせ損失のヘッジを行うことをおすすめします。

ハイレバレッジでの取引であれば、コストを抑え効率的に運用することができます。