8月27日のジャクソンホールバーチャル会合におけるパウエル議長の発言は特に新しいものもなく、年内にテーパリングが行われるかどうかがキーポイントになるくらいの展開となったことから、為替相場は全く動かず、週末の雇用統計も動きは限られたものとなってしまいました。

次のテーマが見つかるまでは当分こういったレンジの小動きが続きそうで、個人投資家としては我慢を強いられる一週間になりそうです。

相場全体としてはドル安が進んでいますが、ドルと円はほぼ同じ方向でリスクオンになったりリスクオフになったりすることから、結果的にドル円は数ある通貨ペアの中でも最も動きが鈍い推移になってしまっています。

この状況は週明けも続きそうで、当分個人投資家は我慢することになるでしょう。

ドル円は当面109円と111円の間で推移するレンジの展開か

ドル円1時間足推移

国内は完全に夏休みが終了し機関投資家も実需筋も相場に戻ってきていますが、東京タイムの動きは少なく動きが止まっている時間も日ましに増えています。

ロンドンタイム以降は多少なりとも動く時間がありますが、それでも動意は相当限られています。

9月1日ロンドンタイムには110.400円を超える上昇となったことから更に上値を狙うかのようにも見えましたが、同日に発表されたADP雇用統計が市場予測を下回って失速し、3日のNYタイムに期日を迎えた110円のオプション、日本円にして1500億円も相場の動きをすっかり抑止する材料となり、週末まで大きな動きにならないまま取引を終えています。

週明け6日は米国がレイバーディで最後の夏休みとなり、これが終わると市場参加者がすべて相場に戻ってくると言われているので新たな展開のスタートに期待が高まっています。

テクニカル的にはドル円は再度下を試す展開にも見えますが、もしそれが正しくても109円を割れて大きく走るような相場になるとは考えにくく、逆に押し目は買い場になる可能性も出始めています。

3日の東京タイムお昼前に菅首相が総裁選に出馬しないという事実上の辞任報道が流れたところでドル円は一瞬109.800円割れまで押し込む動きとなりましたが、1年前の安倍前総理の退陣に比べると動意は限られており、海外でもあまり大した関心を持たれていないことが見え隠れしました。

このまま自民党の総裁選、総選挙へと突入していきますが、果たして為替にはどれぐらいの影響が出るのか注目です。

日経平均のほうは菅辞任で瞬間的に600円近く値を上げるという驚きの展開になったので、日本株の上昇にドル円が着いて行くようなことがあれば、この秋はドル高の展開が早い時間帯から戻ってくることが期待されます。

ただ現状では基本は109円と111円の間のレンジの推移になるのではないかと考えられます。

ユーロドルはユーロ高が続くかどうかに注目

ユーロドル1時間足推移

一方ユーロドルは全般的にドル安が続いていることを受けてユーロ高が進み、9月3日には1.19を回復する場面も見られました。

8月20日につけた1.1664あたりが当面のボトムであり、週明けの相場はここからさらにユーロ高方向に続伸することが期待されています。

9月9日にはECB理事会が開催されますが、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れペース減額を正式に決定するようなことがあればユーロ買いがさらに進む可能性がありそうです。

ただし足もとではデルタ株感染が再拡大しており、さらに変位株が続々と登場しようとしているので、コロナ感染状況次第では完全に逆戻りの相場になることも想定されるため注意が必要です。

為替相場総じて言えるのは出来高が少ないまま継続しており、これは単に夏枯れ相場が原因ではありません。

アフガニスタン問題や中国習近平政権による過剰な企業規制の実施などは大きな問題のはずですが、相場にはあまり響かず、こうしたことも相場が動かない要因になっているようです。

ただ秋口は相場が突然動き出すことも多く、市場に全く想定していなかった新たなテーマが持ち込まれる可能性もあるので、突然の相場の動きには十分に注意しましょう。

日柄調整のような時間が続くとトレード意欲を維持するのが難しくなりますが、動き出すのをしっかり待つのもトレードの一部と考えて辛抱することも大切です。