10月第三週、148.500円レベルから週初スタートしたドル円は5日間ほぼ連続上昇し続けるといった異例の展開となり、21日ロンドンタイムにはとうとう152円一歩手前まで上伸するという激しい上昇を示現することになりました。
東京タイムを終了しても介入に踏み切らない財務省・日銀の対応を見た多くの市場参加者が、今週このレベルでは介入はないと判断したあと、ロンドンタイムが近づいた段階で本格的な介入が行われドル円は146円台まで一気に下落する動きとなりました。

今回の介入はまず、WSJ観測記事で12月FOMC利上げ0.75%予測から0.5%に縮小するのではないかといった内容から、米債利回りが4.33%から4.22%に急落し本邦財務省はこの報道に乗っかる形で介入を行い、想定以上の下落を引き出すことに成功したものと思われます。
日銀は正式には介入についてコメントしていませんが、日本時間の午前3時過ぎ148円台中盤まで値を戻したところで再度売りたたく動きがみられ、介入自体は間違いありません。
しかも事実上NYタイムの取引時間いっぱい介入が続くこととなり、147円台中盤で週の取引を終えています。

結果的に見ると一週間の上昇をすべて落とすような介入となりましたが、市場は150円超の段階で介入を警戒していたことから今回のレベルでの介入はかなり意表をつくものとなったようです。
また、もう一つ驚いたのは米国財務省の管掌時間帯、さらにLondon Fixingの手前で財務省が単独介入に打って出たことで、米国が本当にこの介入について理解していたのかがかなり心配になるところです。

しかも午前3時過ぎにさらに戻り高値を叩きに来たのは相当意外で、多くの市場参加者がこの動きに驚いたものと思われます。
9月22日以降財務省は少額でステルス介入を何度か行ってきたようですが、今回の大規模介入で6円程度の相場水準の押し下げにいくら使ったのか、また無限などと言われている介入原資がいくら残っているのかがに関心が集まりそうです。

週明けドル円はゆっくり戻す展開か

Data Tradingview

今回の財務省・日銀の介入で財務省は152円レベルをシーリングとしていることがはからずも明らかになりましたが、ドル円は金曜日の介入後段階でも146円台からいとも簡単に148円中盤まで戻す展開となっており、引き続き相場が上方向を目指していることは明らかとなっています。
一旦今年の高値をつけた感があるのでここからの上昇はかなりゆっくりになる可能性もありそうですが、11月はFOMCでの利上げによる米債金利の上昇継続、さらに米国中間選挙を受けて結果がどうであれドルが買われやすくなる状況を加味すると、年末にむけてさらにドル円が上昇することは想定されやすく、介入は市場参加者にとっていい押し目となってしまっていることも考えられる状況です。

週明けは28日に日銀政策決定会合を控えており、折角大きな資金を投入して介入で値を下げても黒田総裁が政策変更を一切しないことを強調した場合、またドル円が買われる展開になることはありそうで、引き続き相当な注意が必要です。

ユーロドルは方向感がないが決して大きく買われる状況ではない

Data Tradingview

ユーロドルは先週一週間方向感のない動きを継続することとなりました。
0.97-0.99あたりのレンジ相場でドルが弱含めば買い戻されるものの、ユーロ自体の材料ではないことからまた戻りは売られるといった展開になっています。
先週末かすかに高まりを見せた米FRBによる利上げペース鈍化期待の報道は必ずしも長続きしなさそうで、インフレがそんなに簡単に収まることはないとすれば、また楽観的な相場視点が裏切られることも十分にありそうで、こちらもかなり注意が必要です。

ユーロ圏の景気はかなり悪化しており、ユーロ圏10月PMIやドイツ10月IFO景況感指数の下振れリスクが現実のものとなる可能性は高く、次のECB理事会をきっかけにしてまたユーロドルが大幅に下落することも想定しておく必要があるでしょう。

ポンドも大きく戻したが基本的リスクは払拭されていない

Data Tradingview

9月末以降政権と中央銀行の不協和音でかなり大きな騒ぎとなった英国ですが、トラス首相はとうとう在任期間45日で辞任を余儀なくされ一旦騒ぎが終息したかのように見えたことから、ポンドには買戻しが入っています。
ただ国の政策とBOEの金融政策の食い違いは完全に解消したわけではなく、早晩問題が出てくることに十分に警戒する必要がでてきています。
市場ではボリスジョンソン再登場という話も出回りはじめていますが、ある意味茶番劇に陥っているのもまた事実で、ポンドの先行きが非常に危惧される時間帯に入っています。

相場全体としてはドルの動きだけを追うことが一服した感もありますが、11月に入るとまた米国中心に相場の材料が提供されることからドル主体の相場へ回帰することが想定され引き続き注意深いトレードが必要になりそうです。