4月から会計年度が始まる我が国では8月はまだ今年の前半の域を出ない印象がありますが、カレンダーイヤーで言えばすでに後半に突入しており、今年も残り4か月半となっていることがわかります。
足元では年初来高値更新にむけて上昇しはじめているドル円ですが、果たして年末にはどのレベルにあるのかは非常に気になるところとなっています。
上げるか下げるかしかない為替相場の世界なので当然上方向と下方向に転換するといった予測が出るのは当たり前ですが、それでも具体的どのレベルに到達するかが大きな注目点となります。
ここからさらに上昇を予測する向きも上値はそれほど大きくない
まずここからさらに上昇を予測するアナリストはじり高状態から150円程度で年末の取引を終えるとしている人が多くなっています。
確かにFRBは年内にさらに0.25%の利上げを見込んでいるため、YCCの運用を柔軟化するといっても日銀の利上げがまだまだ先の状況下ではドルが円に対し強く推移することは頷けるものがあり、本邦財務省がうまく為替介入できないままじり高相場が続くのであれば年末150円で終了するというのも奇抜な予想とは言えないものがあります。
一部のアナリストはさらに160円まで上昇といった強気な見通しを出していますが。ドル円の実質実効レートから考えれば145円でも十分に円安状態のためさすがに160円を黙認するとは思えず、たとえ瞬間的につけたとしてもどこかで規制の介入が入ることが予想されるところです。
米国利上げ終了でドル円反転という見方も
一方、どこかのタイミングで下方向に転換するといった予測をするアナリストも増えています。
FRBが利上げを停止した段階でドル円の上昇も止まり、YCCの運用変更で最大1%までの金利上昇を容認するということから考えれば、ここで財務省が為替介入を再度実施することをきっかけにしてドル円は130円方向に下落すると見立てるアナリストが多くなっています。
そもそもドル円の場合、年間を通じて一方向に動くことはほとんどないので、ここから反転すれば年初来の安値方向に動き出すというのも十分にありえる話です。
130円まで戻すかどうかははっきりしませんが、足元のレベルが今年の最高値となった場合にはここから10円以上下値を模索することは十分にあり得そうな状況です。
エリオット波動でも下値模索の時間が続く
国内ではエリオット波動分析の第一人者として有名な宮田直彦氏は現在マネースクエアでアナリストとして活躍されていますが、同氏の見立てでもここからドル円は下落方向に向うという分析が出されており、やはり120円方向に向って相場が転換することを予測されています。
エリオット波動理論はカウントを打つのは比較的自由ですが、打ち方を間違えるととんでもなく間違った分析結果になるため素人には利用しにくいものです。
しかしプロが見ても昨年の最高値が五波であった可能性が高いと見られており、下げのC波を形成している可能性が指摘されています。
年末にドル円がどの水準にいるかもさることながらここから動くかが重要
為替の業界では金融メディアもドル円が年末どの水準に到達するかということについては非常に興味をもっていることからそうした記事の特集は思いのほか多くなりますが、リアルなトレードに活かすという視点でいえば年末の最終着地点がいくらなのかもさることながら、ここから相場がどう動いてその着地点に到達するかが非常に重要です。
たとえばここからずっとじり高が続いて150円で終了するのと、一旦反転下落し130円をつけてから再上昇して150円で年の取引を終了するのではトレードの仕方が全く異なるものになるのはいうまでもありません。
したがって年末いくらでドル円が終わるかが当たっても、相場で儲けることには全くつながらないと指摘する向きも多いのが実情です。
もちろん方向感がつかめることは非常に重要ですが、上に上がる下に下がるといった先入観でトレードするのではなくその場その場の価格状況を正確に分析していくことがより重要であることを意識する必要がありそうです。
また、昨年のように何回かに渡って恣意的に財務省の介入が実施された場合明らかに相場の流れが変わることありますので、テクニカル分析がワークしなくなる時間帯が生まれることにも十分注意することが必要です。